「連続大量差別ハガキ事件」について、12月16日夜、新たな事実が発覚しました。
11月25日の消印で、熊本のハンセン病療養施設・恵楓園(けいふうえん)の入所者自治会に対して、次のような手紙が送られていたのです。
「お前たちはハンセン病発病の時点で人間ではない。ダニやゴキブリやハエやノミやシラミやうじ虫よりもバカでアホでうざったくて汚い下等単細胞生物になったのである。(中略)今回お前たちはアイレディース宮殿黒川温泉ホテルに対してとんでもなく失礼非礼で同ホテルの名誉信用をいちじるしく傷つけるとんでもないことをしてくれやがったな―。ホテルというところは人間が泊まるところであってお前たちのようにハンセン病患者のような人間ではないダニ共が泊まるところではない。(中略)お前たちは人間では決してない。ホテルへあやまれ、死ね(後略)」
犯人は、「連続大量差別ハガキ事件」と同一人物
驚くほど差別的で許し難い手紙ですが、その消印を押した郵便局は東京新宿郵便局、差出人名は東京都足立区○○○○ 浦本誉至史(「よしふみ」とルビつき、電話番号
を表記)でした。
12月12日の熊本日日新聞朝刊の「ひと」照会欄に、浦本誉至史さんが『江戸・東京の被差別部落の歴史―弾左衛門と被差別民衆』(明石書店)の著者として顔写真つきで大きく報じられたのを見た、恵楓園自治会会長が気づき、東京のテレビ製作会社を介して部落解放同盟東京都連合会(以下都連と略します)まで連絡があって発覚しました。
12月17日夕方、都連はその手紙のコピーを入手しましたが、明らかにこの間の差別ハガキ等を繰り返している犯人と同一筆跡でした。
12月17日20時頃、浦本さん自身が熊本の恵楓園自治会会長に電話し、事情を説明しました。浦本さんによれば会長さんは、「最初手紙をもらった時は、あまりにすさまじい内容に驚き、悲しく、また激しい怒りが湧いた。」「熊本日日の記事を読んですぐ、この人がこんなことをするはずがないと思い。何とか浦本さんに連絡しようと思った。」「今日浦本さんのお話を聞いて、まことに許しがたい話だと思った。許せない。共に力を合わせて、こんな不当なことは跳ね返していきましょう。」と述べられました。
会長さんとお話ししていて、浦本さんは涙があふれてきたとのことです。
皆さん、こんなことが許されてよいのでしょうか。浦本さんはもとより今回の事件の被害者全員とにとって、こんな悔しいことはありません。
差別されている者同士を「ぶつけ合わせよう」とする意図
恵楓園自治会のみなさんが、この間(宿泊拒否とその後の凄まじい嫌がらせ手紙・ハガキ等によって)どんな辛く苦しい思いをされてきたかは、皆さんも報道等によってご存知のことと思います。その人たちに対して、私たちの名前で、このような手紙を出されたことを、私たちは絶対に許せません。
手紙には浦本さんの電話番号まで明記されており、怒りを持った恵楓園自治会のみなさんが浦本さんに「抗議」することを意図していた可能性があります。ここには、差別されている者同士を「ぶつけ合わせよう」とする、犯人の陰湿かつ狡猾な悪意が潜んでいると言わなくてはなりません。
「終結宣言」の嘘明白に
12月8日消印の「終結宣言」の中で、犯人はこの手紙のことはただの一言も触れていません。それどころか、実際には200通以上出しているのが明白なのに、「これまでに出した90通」などと、事件を過小に書いていたいたのです。これは12月3日の新聞報道が、とりあえず都内の分90通だけを報じているからです。つまり犯人は、「90通意外の分は、ばれていない」と思い込んでおり、後の分は「言わなければ分からない」と思っているのです。
私たちには、「ばれている分だけ謝って、後は知らん顔をしていれば罪を問われない。もしかしたら単純に告訴を取り下げてくれるかも」と犯人が考えているようにしか思えません。
犯人が、全く反省の気持ちなど持っていないことは、この一事からも明白です。
絶対に犯人を許さない。どんなことがあっても、何年かかっても、犯人を私たちの前で、そして恵楓園自治会の皆さんの前で謝罪させる。私たちはそう決意しています。
《参考》事件を報じる熊本日日新聞の記事
http://kumanichi.com/feature/hansen/kiji/20031225.2.html