04年1月19日、「連続・大量差別ハガキ事件」の犯人から、差別行為を再開する旨「宣言」した手紙が送られてきました。手紙の宛先は部落解放同盟東京都連合会(都連)、消印は2004年1月16日渋谷局でした。例によって封筒には差出人名はありません。
犯人はこの「再開宣言」で、「一度はやめようと思った」が都連のホームページに「犯人に必ず謝罪させる」と書いているのを見て、部落に対する怒りと憎しみが再びわき起こってきた。「特殊部落出身のえたのくせしやがって人間である私に対してあんな生意気を(な?)ことを言いやがるのは絶対に許せない。お前たちは特殊部落出身のえたなんだぞ。わかっているのか。えた、お前たちはゴキブリ、ダニ以下の賤しくてケガれていて汚なくて臭い下等生物であって差別されて当然である。それをまるで人間であるかのような態度で。生意気だ。死ねバーカ」と書き、徹底的に「差別してやる」と宣言しています。
違法にならないように注意しながら差別してやる
今回の手紙には、浦本誉至史さんの顔写真が、両目をくり抜かれた形で添付されています。これは2003年12月20日の東京新聞朝刊の切り抜きコピーしたものでした。この新聞記事は浦本さんが『江戸・東京の被差別部落の歴史』(明石書店)の著者として紹介されたものでした。「再開宣言」の中で、犯人は、「足立区の浦本誉至史、お前はえたのくせして本出したんだって。そんな本誰も読まないよ。バーカ」とわざわざ述べています。
この他にも、「再開宣言」では、被差別部落出身者の個人名を書き連ね、「わら人形に五寸釘を打ち付けてのろってやる」これは「本当に殺す行為ではないから法に触れない」。「物品を送りつけたり」「殺すといった言葉を使う」と脅迫になるから、今年は「反省して」そういうことはしない。「差別すること自体は違法ではない」から、これから「法に触れないように注意しながら差別してやる」と、独自の理屈を展開しています。どうやら犯人は、「相手に対して精神的苦痛や不安を与えること」は犯罪にならないと勘違いしているようです。被害者の告訴を受けて捜査が開始された事実がよほど脅威だったと思われます。しかし、もちろんこんな理屈が通用するわけがありません。警視庁浅草署も「一方的『終結宣言』以降も手をゆるめることなく捜査を継続していいるが、今回の『再開宣言』を受けてさらに捜査を強化する。犯人は逮捕する」と述べています。
ハンセン病療養所入所者や在日朝鮮人も露骨に差別
今回、封筒には、2通の「手紙」が入っていました。1通は上記の文書で、もう1通の方は、B5大の用紙に裏表にびっしりと書きこんだものです。こちらには、部落差別とともに、熊本の恵楓園(けいふうえん)の入所者の皆さんや在日朝鮮人の皆さんに対する許し難い差別記述が書き連ねられています。2通の筆跡は、間違いなくこの間の犯人と同一のものです。
私たちはこれまで、「終結宣言」を「逮捕恐さの言い逃れであり、嘘である」と見てきました。今回、犯人自ら、この見方が正しかったことを証明したと言えます。
また犯人は、「終結宣言」の中で、「まだ自殺者は出ていないようだから良かった」などと述べています。つまり犯人は「自殺者が出る可能性も否定できないと知りつつ」差別行為を続けてきたわけです。これは明らかに「未必の故意」です。そして犯人は、現在もこの認識を持って「差別を続ける」と決め、わざわざそれを被害者団体に通告してきたのです。
これのどこが、「犯罪ではない。違法ではない」のでしょうか?!
犯人に言っておきます。「悪あがき」はやめ、今すぐ自首するべきです。そして全ての被害者の前で謝罪しなくてはなりません。でなければ、あなたは罪に罪を重ねることになる。こんなことは、決して許されることではありません。
[資料]「再開宣言」実物大写真(部分)
[資料]「再開宣言」に関するネット報道↓
共同通信&YahooNews
京都新聞