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6 大類鑑定書の新規明白性と原決定の誤りについて
原決定は,大類鑑定について,「本件脅迫状の句読法の誤りを,高度の句読法を身につけた者の作為の仕業と推測することには,疑問がある」とした。
しかしながら,大類鑑定は,本件脅迫状は文末にダッシュ,マルダッシュという特異な句読法を使用していること,12の文末のうち8カ所まで正しく句点を打っていることを指摘した上で,請求人の手になる文章の句読点の使用状況を分析し,「脅迫状の句点は,誤用もあるが,行末に置こうとしている意図が見られる。そのうえ,突然の断止で,マルとダッシュを用いているのは,高度な句読法であり,石川一雄請求人のものとは考え得ない」と結論しているのであって,原決定は,大類鑑定の指摘が意味するところを正しく判断したものではない。
また,原決定は,「本件脅迫状の後半部分には,3行にわたり文字を大きく表記した箇所があり,これは強調の意味があると思われる」としながらも,「これをもって,詩文に精通した者でなければ書けないはずなどという大類鑑定書の見解は,独断に過ぎ,にわかに賛同することはできない」と述べるだけであって,こうした強調の意味をもつ表記を当時の請求人がなしえたことに合理的疑いがあるという点(弁護人提出の大野鑑定等が指摘する)については何ら触れていない。大類鑑定書の結論するとおり,本件脅迫状の句読点の使用状況と本件当時の請求人の句読点使用の状況から見ても,請求人が本件脅迫状を書いたとすることに合理的疑いがあることは明らかであり,その判断を誤った原決定は破棄されるべきである。
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