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 3 木下第1意見書の新規明白性と原決定誤りについて

 原決定は,木下第1意見書について「3鑑定の結論に影響を及ぼすものとはいい難い」とした。しかしながら,原決定は,木下意見書をはじめとする各鑑定書および弁護人の指摘する3鑑定の具体的問題点,とりわけ顕著な筆跡の相異について3鑑定が恣意的に無視している点について,何ら述べていない。
 原決定は,木下第1意見書の鑑定方法につき,「その手法は,手書き文書の筆跡異同の判断過程として余りに単純直截で,その妥当性には疑問がある」としている。
 しかしながら,木下第1意見書は,わが国においては「近代統計学(数理統計学)の発達が欧米に比して著しく遅れたため,科学的筆跡鑑定方法が定着していない」ことを指摘したうえで,「わが国の,硬筆による文書の筆跡鑑定方法,すなわち,2つの文書が同一筆跡であるか,同一でないかを判定する科学的方法」が厳正な意味で確立されているか否かを問題として,近代統計学的方法を適用した欧米の科学的筆跡鑑定方法の導入を提唱している。同意見書の提唱する現実的にして科学的な筆跡鑑定方法は,「実証的に,すなわち蓋然的に判別する方法」として近代統計学が達成した手法を活用する判定方法である。その結果,@本件確定判決の基礎となった3鑑定による鑑定結果は誤りであること,A第2次再審請求審で検察官により提出された高澤鑑定は誤りであること,B本件脅迫状と請求人自筆の昭和38年5月21日付上申書は同一人の筆跡でないことを明らかにした(3鑑定が対照文字とした「ツ」「に」について統計的検定<平均値の差のt検定>を実施し,「ツ」については過誤の危険率0,4%以下で,「に」については過誤の危険率0,3%以下で,それぞれ「同一人の筆跡でない」と言明できることを証明した)ものである。原決定の述べるところは,木下意見書の近代統計学的方法を適用した厳正な証明に基づく指摘に対する無理解と言うほかない。
 木下第1意見書は,確定判決の事実認定をくつがえす新規明白な証拠である。原決定の 判断の誤りは明らかであり,破棄されなければならない。

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