◇5月1日・2日-埼玉県狭山市
狭山事件の発生から38年目を迎えた2001年5月1日・2日の両日、狭山弁護団は、東京高裁に提出した新証拠に係わって公開の実験をおこないました。公開実験にはマスコミ各社の記者やルポライターの鎌田慧さんなどが参加しました。
5月1日におこなわれた実験は、脅迫状の指紋に関するものです。狭山事件で唯一真犯人につながる物証である脅迫状からは、石川さんの指紋が検出されていません。このことについて裁判所は、「鮮明な指紋が必ずしも検出されるとは限らない」と判断して石川さんの再審請求を棄却していました。
◇自白通りなら、脅迫状に指紋が残らないことはありえない
狭山事件の脅迫状封筒
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今回の公開実験では、石川さんが脅迫状と同じ文面を同じ筆記用具を使って書き、封筒に納めるなど、逮捕当時に自白した内容にそって脅迫状の作成を再現しました。そしてその封筒と脅迫状を栃木県警の元鑑識課員である斎藤鑑定人が当時おこなわれていたのと同じ方法で指紋鑑定しました。その結果、多数の指紋(全体で135個、内19個は石川さんの指紋でした)が鮮明に浮かびあがりました。
狭山事件では、脅迫状は素手で取り扱われたことが前提となっています(自白と裁判所の認定)。もしその通りなら、脅迫状から石川さんの指紋が見つかるはずですが、実際には一つも検出されていません。長年警察で指紋鑑定を専門としてきた斎藤鑑定人は、「このようなことはありえない」と述べています。また、斎藤鑑定人は、狭山事件の脅迫状と封筒を詳細に調べた結果、新たに「軍手の痕跡」を発見し裁判所に新証拠として提出しました。真犯人は軍手を使って脅迫状をあつかったことは明らかで、石川さんの自白や裁判所の認定は事実ではないのです。
5月2日には、地下足袋による足跡に係わる実験もおこなわれ、検察や再審棄却決定の誤りがさらに明らかとなりました。