05年3月10日13時30分から、東京地方裁判所(第7刑事部)第511号法廷で「連続・大量差別はがき事件」の第3回公判がおこなわれました。当日は、浦本誉至史さんに対する「私印偽造・同使用」(刑法第167条第1項)、浦本さん以外の4人の被害者に対する「脅迫」(刑法第222条第1項)の計5件の容疑について審理が行われました。
被告と被告の弁護人は、これまで通り起訴事実を全面的に認めました。
被差別部落とハンセン病元患者への差別意識から
浦本さんに対する「私印偽造・同使用」の罪に関して、この日検察官は概ね次のように犯行事実を指摘しました。
「被告は、日頃、被差別部落を自分より下の存在と考えていたが、同時にハンセン病元患者に対しても、自分より下の存在という誤った認識を持っていた」。03年10月頃、「熊本菊池恵楓園のハンセン病元患者が、ホテルから宿泊拒否にあった事実を知り」、この際「ハンセン病元患者に対してその名誉・感情を著しく傷つける手紙(※)を出して精神的苦痛を与えること」を考え、同時に差出人として被差別部落出身者の氏名住所を騙ることで「自身の身元を秘匿するとともに、詐称した被害者(被差別部落出身者)に対しても抗議や問い合わせ等がなされることによって、嫌がらせの効果が上がると考え、浦本誉至史の氏名住所電話番号を用いて手紙を出した」。
S被告は、03年11月から04年6月までの間に、菊池恵楓園に対して5回にわたって差別手紙を出しました。その内容は、「ハンセン病患者は人間ではない化け物。人間ではないものがホテルに泊まろうとは生意気だ。アイレディース黒川温泉ホテルに謝れ」などとする悪質きわまりないものです。(内3通の差出人名が浦本誉至史さんの名前と住所、残り2通の差出人名は、1通が別の被差別部落出身者の名前、もう1通は無記名でした)。
この日被告は、この起訴事実を全面的に認めました。つまり「被差別部落とハンセン病元患者への差別意識から、両者に徹底的な精神的苦痛を与えようと意図し、しかもハンセン病元患者に被差別部落への抗議をさせることで両者をいがみあわせようと計画して犯行を実行に移した」ということを認めたわけです。理由は、「被害者個人は勿論、被差別部落とハンセン病元患者には何の関係もない、自身のうっ屈をはらすため」です。
次回公判は3月31日
「連続・大量差別はがき事件」の次回公判は、下記の通り東京地方裁判所で開かれます。当日は、浦本さん以外の2人の方に対する「名誉毀損」(刑法第230条第1項)の起訴事実の朗読と、罪状認否があるものと思われます。
日程:3月31日11時30分(開廷予定)
法廷:東京地方裁判所(第7刑事部)第511号法廷