多くの人が、部落差別というのは西日本の問題で、東京には被差別部落はないし部落差別もないと漠然と考えています。でもそれは事実ではありません。東京都内には歴史的に確認される被差別部落がいくつもあります。もちろん部落民も生活しています。また、大変残念なことですが部落差別もあるのです。
例えば1999年6月に東京都がおこなった「人権に関する世論調査」(都民2000人対象)によれば、以下のような結果が出ています。
Q1 部落差別を知っているかどうか
a.知っている 87.2%
b.知らない 12.8%
Q2 親しくしている近所の人が部落出身者だと分かったときの対応
a.変わらない 76.5%
b.できるだけさけるようにする 4.9%
c.つきあいはやめる等 0.5%
(※年代別では、70歳以上の高齢者と、20代30代の若者にb.c傾向が強い)
Q3 子どもの結婚相手が部落出身者であると分かったときの対応
a.子どもの意志を尊重する 53.9%
b.反対する。ただし子どもの意志が強ければしかたない 19.0%
c.結婚は認めない 3.9% (※内「絶対に認めない」は、1.9%)
Q4 結婚相手が部落出身者で親から反対されたときの対応
(Q4は未婚者のみの回答)
a.自分の意志を貫く 68.2%
b.結婚しない 4.8% (※内「絶対に結婚しない」は、0.9%)
Q5 部落出身者の人権が尊重されていないと感じるときは
(Q5は1人が2つ以内の回答)
1.部落出身であることを理由に地域社会で差別的な取り扱いを受ける 27.7%
2.結婚問題で周囲から反対を受ける 27.5%
3.就職・職場で不利な扱いを受ける 24.6%
4.特にない 8.7%
意識調査の数字自体は、全国平均とあまり変わらないものです。「東京は部落差別意識が希薄だ」という主張に根拠がないことが明らかとなりました。全国的には、結婚時など親密なつき合いが生じる機会に特に強い差別意識があらわれることが明らかになっていますが、これも同じでした。
部落差別事件も、残念ながら後を絶ちません。詳しくは「都内で起きた部落差別事件」のコーナーを参照ください。インターネットの掲示板に、執拗に東京都内の被差別部落の一覧が掲示されたり(実際には間違いが多い)、都内在住の個人の名前や住所を書きこんで「こいつは部落民だ」などと書いて殺人を教唆する事態も起こっています。