6.東京の被差別部落の現状と私たちの活動
東京の被差別部落は現在も地域の部落産業とともに歩んでいます。しかし、多くの部落産業は零細な経営形態もあって、厳しい不況によって大きな打撃を受けています。また、部落産業以外の仕事に就いている部落民も、不況の影響を受けているのはもちろん、引き続き起こっている悪質な差別事件に見られるような差別・偏見に日常的に脅かされ続けています(最近の差別事件のコーナーを参照)。
よく、「被差別部落の存在が分からなくなったり見えにくくなれば差別はなくなっていく」とか「そっとしておけばなくなる」という意見を口にされる方がいます。私たちはこういう考え方を「寝た子を起こすな」式の考え方と呼んでいますが、東京の被差別部落の現実を見てみると、この「寝た子を起こすな」式の考え方が誤りであることがよく分かります。
東京の被差別部落は強制移転などによって確かに「見えにくく」はされてきました。しかし、それにも関わらず差別事件は後を絶たちません。一方で被差別部落が拡散させられてきた結果、昔ながらの部落民の支え合いや大切なきずなが分断されがちとなり、不当な差別を受けたときに「それはおかしい」とみんなで跳ね返すことができにくくなってしまったのです。
私たちはこのような状態を解決するために、まずなによりも都内在住の部落民のつながりを回復することが重要だと考えています。そのために都内に10個の支部を設け、それぞれの地域ごとになかまたちの生活相談や地域社会への働きかけなどの日常活動をしています。
また、東京都などの行政に対しても「東京にも被差別部落があり、差別があることを都民に広く知ってもらい、その解決にむけてみんなで知恵を出し合うようにしてほしい。行政機関は特に積極的な姿勢を打ち出してほしい」と訴えていますが、こちらの方はなかなか十分な対応が示されていません。
私たちは、被差別部落の歴史や文化に誇りを持ち、積極的な姿勢で生活していける東京をめざして、これからも都内の被差別部落を中心に、それ以外の地域や人々にも訴えてさまざまな活動を展開していきます。