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第十三 死体埋没現場の玉石の存在に対する原決定の誤りについて
判示は,玉石についての請求人の主張を却けたが,その理由として,
「関係証拠によれば,本件死体埋没現場は造成された農道であり,付近には人家も点在しているのであるから,玉石が何らかの原因で,事件以前から同所付近に存在し,犯人が死体を埋没するため,土を掘削し,覆土した過程で,たまたま死体の側に存在するに至った可能性は否定し難い」としている。
しかしこれまた,農業の実体を知らない常識外れの言と言わざるを得ない。
そもそも農業は,特に伝統的に鋤・鍬等の農具を用いて行われるのが通常であるが,これらの器具にとって石とくに本件の玉石のような大きな石は,農具に損傷を与える天敵である。他方,死体穴付近は関東ローム層地帯で,火山灰の堆積土壌であり,このような玉石は人為的な持込みがなければ存在しない。判示はこともなげに,「以前に持ち込まれて付近に存在し」と述べるが,農道の所有者であるA・Sもまたその先祖の耕作者たちも付近に存在しない農道に,天敵の玉石をわざわざ持ってきて,しかもそのまま放置しておくことなど決してないのである。原決定の誤りは,明白と言わなければならない。
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