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第22 異議理由第22 供述調書添付図面の筆圧痕についての原決定の誤りをいう点について
所論は、要するに、上野、宮内鑑定は、請求人の自白調書添付図面のあくまで一部に限って、鉛筆線より先に付けられた筆圧痕はないと結論づけているのであって、同鑑定の対象外となった図面に鉛筆線より先に付けられた筆圧痕があるかどうかは未解明であり、これを解明することなしには、筆圧痕をなぞって図面を作成したことがあるとの請求人の確定判決審での供述を虚偽と結論づけることはできないのであって、そこで請求人は、改めて再鑑定が必要であると力説し、これを解明する方法として荻野鑑定書の提起する方法を提案し続けたのであるが、原審は、請求人の再鑑定請求の採用しないまま、筆圧痕をなぞって作成された図面はなく、請求人はこの点につき公判廷で意識的に虚偽供述をしたとの確定判決を維持したのであり、この点の誤りは明白である、というのである。
しかしながら、所論援用の荻野晃也作成の鑑定書は、所論と同旨の主張を裏付ける新証拠として、既に第1次再審請求審査手続にも提出され、判断を経たことが明らかであり、所論が依拠する証拠は、実質上、第1次再審請求の場合と同一であるに等しいから、所論は、本件自白調書添付図面の鉛筆線と筆圧痕の関係につき、第1次再審請求におけると同一の理由により再審を請求するものであって、刑訴法447条2項に照らして不適法である。
なお、宮内義之助作成の昭和45年7月23日付け鑑定書及び上野正吉作成の昭和46年6月30日付け鑑定書は、十分な証明力を有するのに対し、所論援用の荻野鑑定書は、筆圧痕と鉛筆線との先後関係を判定するについての一つの方法論を提示するにとどまるものであり、所論援用の各証拠を、確定判定の依拠する関係証拠と総合考察しても、確定判決の事実認定に合理的な疑問を生じさせるまでの具体的内容をもつものとはいえない。したがって、原決定に所論のような誤りはない。
論旨は採用できない。
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