部落解放同盟東京都連合会

狭山事件異議申立棄却決定-INDEXに戻る

第19 異議理由第19 指紋に対する原決定の判断の誤りをいう点について

                  

《弁護側主張》

 所論は、要するに、原決定は指紋に関する弁護士ら提出の意見書、鑑定書を斥けたが、その理由とするところは、「一般に、手指で手紙などに触れた事実があり、その分泌物の付着も十分であったはずでも、その触れた個所から、異同の対照が可能なように鮮明な指紋が必ずしも検出されるとは限らない。」との一般論を超えるものではないし、脅迫状、封筒に請求人の指紋が1個も検出されなかったことは極めて不自然である上、原決定は軍手様の手袋痕が付着しているとの齋藤鑑定書の指摘を否定しているが、同鑑定書指摘の手袋痕は封筒の開封の仕方をも推認させるものであって、長年指紋業務に専念してきた齋藤鑑定人の指摘はたやすく否定されるべきではない、これに本件脅迫状、封筒の指紋検出の結果を併せれば、脅迫状の作成者が作成時前後を通じて手袋を着用していたものと考えるのが合理的であり、原決定には理由不備があり、違法たるを免れない、というのである。

《検討》

(1)そこで、検討するのに、確定判決審で取り調べた埼玉県警察本部刑事部鑑識課員齋藤義見ほか作成の昭和38年5月13日付け捜査報告書によれば、同月2日に、本件脅迫状、その封筒及び被害者の身分証明書につき、指紋の検査を行った結果、封筒から対照不可能な指紋3個が検出され、脅迫状から対照可能な指紋2個(1個は狭山警察署の木村巡査の右示指、他は被害者の実兄N・Kの右拇指)及び対照不可能な指紋2個が検出されたが、被害者の身分証明書からは検出されなかった、すなわち、脅迫状と封筒に対照不可能な指紋の付着はあったが、請求人の指紋と同定できるものは検出されなかったことが認められる。しかし、原決定が指摘するように、一般に、手指で紙などに触れた事実があり、その分泌物の付着も十分であったはずでも、その触れた個所から、異同の対照が可能な程に鮮明な指紋が必ず検出されるとは限らないのであるから、請求人のものと同定できる指紋がこれら対象物から検出されなかったことが、即、請求人が本件脅迫状、封筒及び被害者Yの身分証明書などに触れた事実がないことを意味するとはいえず、所論援用の証拠等も、この点に関する確定判決の事実認定を動揺させるものとはいい難い。

このページのtopに戻る

(2)なお、齋藤第1鑑定書及び同第2鑑定書は、鑑定資料として請求人の弁護人から提供された、指紋検出用の試薬で処理する以前の、本件脅迫状とその封筒の拡大白黒写真には、軍手様の手袋痕と思科される布目痕の一部が存在するところ、これらは、被害者の家族や警察関係者によって付けられたとは考え難いことから、犯人が印象した可能性が極めて高いと判定し、所論は、これを援用して、犯人は軍手様の手袋を着用して、本件脅迫状とその封筒を取り扱ったもので、請求人は犯人ではないと主張するようであるが、既に述べたとおり、齋藤鑑定書指摘の写真には、縞模様らしいものがその指摘の個所に薄ぼんやりと印象されているかに見えるが(所論にかんがみ現物を検しても、現在では判然としない。)、これを犯人の用いた軍手用の手袋の汚れが付着したものであるとする同鑑定書の指摘は、一つの推測の域を出ないものというほかはない。そして、所論援用の証拠を確定判決審の証拠と併せ検討しても、この推測を支持すると認めるべき証跡は見出せず、確定判決の事実認定に疑いを生じさせるに至らない。

このページのtopに戻る

(3)また、所論は、異議申立補充書(平成13年6月4日付け)において、齋藤保作成の鑑定書(齋藤実験鑑定書)を援用し、「請求人外2名による実験用封筒・脅迫状を自供どおりに記載した場合は、最低1個以上の指紋は検出できるものと認められる。同実験結果から見て、請求人が、遺留品である本件封筒・脅迫状を自供どおりに記載した場合において、同人の指紋が検出されていないのは、本件封筒・脅迫状に触れていないからであると認められる。」との同鑑定書は、新規明白性を備えた証拠であると主張するが、実験の条件設定が本件封筒・脅迫状の作成、保管状況等を正確に再現できたものか明確ではないから、同鑑定書も前記結論を左右するものではない。
 理由不備をいう点を含め、論旨は採用できない。

※《》内の小見出しは、当Site担当者が便宜的につけたものです。決定本文にはありません

このページのtopに戻る

(35)

(36/41)

(37)

 ◆狭山事件異議申立棄却決定-INDEXに戻る

部落解放同盟東京都連合会

e-mail : mg5s-hsgw@asahi-net.or.jp 

Site Meter