|
第17 異議理由第17、同補充第12のうち、鞄に関する原決定の判断の誤りをいう点について
所論は、要するに、原決定は、本件鞄発見の経緯に徴すると、「本件鞄は、請求人の供述に基づき捜索の結果、請求人が捨てたと図示した場所から程遠からぬ地点で発見押収されたものと認めることができる。」としているが、本件鞄発見地点は、捜査当局が当然捜索する範囲内に位置しており、現実に捜索されたであろうことは、捜査官証言等から十分確認されるところであり、旧証拠のみからでも、本件鞄に関する確定判決の事実認定は相当動揺しているのであるが、新証拠として提出した宮岡貞男の昭和38年7月3日付け検面調書を加えて総合判断されるならば、確定判決に対する合理的疑いは払拭し難いものとなるのであって、本件鞄は自供に基づいて発見されたとは認められず、秘密の暴露に当たらないというべきであるから、原決定の誤りは明らかである、というのである。
しかしながら、関係証拠によれば、本件鞄発見の経緯原決定が判示するとおりであって、本件鞄は、請求人の供述に基づき捜索の結果、請求人の捨てたと図示した場所から程遠からぬ地点で発見押収されたものと認めることができる。本件鞄の発見場所は、所論指摘の通り、遺体発見以来、捜査当局が、それまでに幾度か証拠物捜索の対象とした地域ではあったけれども、司法警察員清水利一作成の昭和38年6月22日付け実況見分調書添付の図面によれば、本件鞄の発見地点は、荷掛け紐発見地点のほぼ西方56メートル、教科書等発見地点のほぼ東方約136メートルに位置するのであって、いずれの場所とも道路を隔てており、5月から6月という時節柄、本件鞄は、草木の繁茂する雑木林の端付近の溝の中で泥に覆われていたのであるから、以前の捜索の際に必ず発見できていたはずであるとはいい難い。請求人援用の証拠を確定判決審の関係証拠に併せて検討しても、本件鞄の発見押収の過程に、所論のような捜査官の殊更な誘導や悪質な作為の介在をうかがわせる事跡は見出せないのである。
論旨は採用できない。
(33)← |
|
→(35) |
◆狭山事件異議申立棄却決定-INDEXに戻る |
|
e-mail : mg5s-hsgw@asahi-net.or.jp |