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第13 異議理由第13、同補充第3のうち、死体埋没現場の玉石の存在に対する原決定の判断の誤りをいう点について
所論は、要するに、原決定は、玉石についての請求人の主張を斥けたが、死体埋没穴付近は関東ローム層地帯で、火山灰の堆積土壌であり、本件のような玉石は人為的な持込みがなければ存在しないし、本件のような大きな玉石は農具に損傷を与える天敵であるから、農道の所有者である新井千吉もまたその先祖の耕作者達も、天敵の玉石を農道にわざわざ持ってきて、しかもそのまま放置しておくことなど決してないのであって、原決定の判示は明白な誤りである、というのである。
しかしながら、所論援用の生越鑑定書は、所論と同旨の主張を裏付ける新証拠として、既に第1次再審請求で提出され、その請求棄却決定の理由中で判断を経たことが明らかであり、鑑定書の作成者を証人として新たに加えて見ても、実質上、証拠は同一であることに等しいから、所論は、本件玉石に関して、第1次再審請求におけると同一の理由により再審を請求するものというほかなく、刑法447条2項に照らして不適法である。
なお、関係証拠によれば、本件死体埋没現場は造成された農道であり、付近には人家も点在しているのであるから、玉石が何らかの原因で、事件以前から同所付近に存在し、犯人が死体を埋没するために、土を掘削し、覆土した過程で、たまたま死体の側に存在するに至った可能性は否定し難いのであって、さらに所論援用の証拠を併せて見ても、犯人が死体埋没に当たって、本件玉石をわざわざ死体の傍らに置いたと認めるべき証拠があるとはいい難く、確定判決の認定に影響を及ぼすものではない。
論旨は採用できない。
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