部落解放同盟東京都連合会

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第12 異議理由第12、同補充第3のうち、スコップに対する原決定の判断の誤りをいう点について

                         

 所論は、要するに、原決定は、星野鑑定書に基づき、本件スコップが死体埋没穴の掘削に用いられた蓋然性は高いと判示しているが、死体埋没現場付近一帯の土壌は広く関東ローム層が積み重なり覆われているのであり、これらの特異性のない土壌が相互に類似していても、本件スコップが死体処理に使用されたものとは到底いえないものである以上、生越鑑定書は、土壌分析の結果、異質性判断の最重要の規準は、砂・シルト・粘土の混成割合であり、この点から見ると、スコップから採取された(1)pの土壌は他の如何なる資料とも著しく異なっているので、スコップが他の場所を掘った時にこの土壌が付着したものと考えるほかなく、かえって本件スコップは死体処理に使用されたものでないことを示すことになることを明らかにしたのであって、スコップに対する原決定の判断は誤りである、というのである。
 しかしながら、所論援用の生越鑑定書及び生越鑑定補充書は、いずれも所論と同旨の主張を裏付ける新証拠として、すでに第1次再審請求で提出され、その請求棄却決定の理由中で判断を経たことが明らかであり、鑑定書の作成者生越忠を証人として新たに加えて見ても、実質上、証拠は同一であるから、所論は、本件スコップに関して、第1次再審請求におけると同一の理由により再審を請求するものというほかなく、刑法447条2項に照らして不適法である。
 なお、生越鑑定書及び生越鑑定補充書は、第1審が取り調べた昭和38年7月20日付星野正彦作成の鑑定書の土質比較検査方法とその結論を批判するのであるが、第1次再審請求の特別抗告棄却決定が指摘するとおり、星野鑑定書により、本件スコップ付着の土壌の一部が、死体の埋没付近から採取された土壌サンプルの一つと類似することが明らかにされたのであって、星野鑑定書はそれなりに確定判決の認定を裏付ける証拠力を有するというべきであり、しかも、この事実に加えて、本件スコップが死体の埋没穴から約125メートルのところにある麦畑に放置されていた状況など、確定判決審のその余の関係証拠から認められる具体的事情を併せ勘案すると、本件スコップが死体の埋没穴の掘削に用いられた蓋然性は高いということができ、その意味で本件犯行の物的証拠の一つと認められるのであって、その旨の原決定の判断は、相当である。
 論旨は採用できない。

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