部落解放同盟東京都連合会

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第11 意義理由第11 死体の足首の状態についての原決定の誤りをいう点について

                  

 所論は、要するに、弁護人は、原決定審で木村実験報告書、井野実験報告書、大西検査報告書等の新証拠を提出し、請求人の自白のように、死体を逆さ吊りに指定も穴に隠匿すれば、死体足首に痕跡が残らないことはあり得ないことを明らかにしたが、これらの新証拠は、第1次再審請求審提出の司法警察員大谷木豊次郎作成の昭和38年7月5日付け実況見分調書(芋穴のルミノール反応検査)、中山実験報告書、木村・倉田実験報告書の各新証拠、死体処理に関する第1審、確定判決審での取調済みの旧証拠と相まって、確定判決における事実認定につき合理的な疑いを抱かせ、その認定を覆すに足りる蓋然性のある新規明白な証拠であるのに、原決定は、弁護人提出の新証拠について具体的に検討することなく、その価値を無視してしまったもので、違法である、というのである。
 しかしながら、原決定が指摘するように、死体の吊り下げ、吊り上げの態様に関する請求人の自白内容は、ありのままを述べた正確なものとは、必ずしもいえないと認められるのであって、自白内容に相応する事態を想定して再現実験を行い、その実験結果から、芋穴へ一時死体を隠匿した旨の自白内容の真偽を論定することは、ほとんど不可能に近いといわなければならない。所論援用の各報告書が実験の基とした自白内容自体、実験の状況を細部にわたるまで如実に述べたものとは必ずしもいえない以上、これらの報告書の実験結果から、発見された死体の足首に吊るした痕跡ないし損傷がないのは不自然であると結論し、そのことから直ちに、本件芋穴に死体を一時隠匿した旨の自白は嘘偽の疑いがあり、確定判決の事実認定に合理的な疑問が残るとまでいうことはできない。所論援用の証拠をすべて併せて、確定判決審の関係証拠と総合検討しても、確定判決の事実認定に合理的な疑問を抱かせるものとはいえないとした原決定の判断に、誤りはない。
 論旨は採用できない。

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