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第4 異議理由第4、同補充第11、姦淫の態様に関する原決定の誤りをいう点について
所論は、要するに、原決定は、本件姦淫の態様が暴力的でないとする弁護人ら提出の鑑定書、意見書等を斥けたが、その理由とするところは、被害者が発見された際の状況(両手を手拭で後ろ手に縛られ、両足を動かす程度しか抵抗できない状態)をそのまま姦淫行為時の状況に引き写したということに尽きるのであって、このような判断方法を採る限り、外陰部その他の損傷という死体に残された客観的状況が暴力的姦淫の痕跡であるか否かの法医学的検討が等閑視され、木村意見書における説得的な論述も無視されるのは当然であり、このような原決定には明らかに理由欠落の違法がある上、五十嵐鑑定書の外陰部の所見は、本件姦淫の態様が暴力的なものでないとする弁護人ら援用の意見書を補強するものである、というのである。
しかしながら、関係証拠によれば、原決定指摘のとおり、本件姦淫の際、被害者は、両手を手拭で後ろ手に縛られており、両脚を動かす程度しか抵抗できない状態にあったと認められるのであって、このような本件の具体的状況を考慮し、五十嵐鑑定書の記載にも照らすと、本件の姦淫が被害者の抵抗を抑圧して強いて行われたことは明らかである。所論援用のすべての証拠を併せて、確定判決審の証拠と総合考察しても、被害者を強姦した旨の請求人の自白が内容虚偽であるとする所論を裏付け、確定判決を動揺させるものということはできないのであって、その旨の原決定の判断は、相当である。
論旨は採用できない。
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