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(4)また、所論は、異議申立補充書(平成13年5月11日付け)において、齋藤保、柳田律夫共同作成の鑑定書(以下「齋藤第3・柳田鑑定書」という。)を援用し、「封筒『少』の部分には、算用数字の『2』が認められる。封筒『時』の部分には、左側に『女』、右側に『死』が認められ、筆記用具は万年筆又はインク付けペンによって書かれているものと認められる。脅迫状の掻き消された文字は、『女』、『林』、『供』、『八』、『二』が認められ、筆記用具は、万年筆又はインク付けペンによって書かれているものと認められる。封筒及び脅迫状の『女』は、草書体で書かれていると認められる。脅迫状の『林』は、行書体で書かれているものと認められる。」とする齋藤第3・柳田鑑定書は、独自のソフトに基づく極めて高度のコンピュータ技術を応用し、本件封筒等の文字・文字痕についての多方向からの写真撮影結果の重合や周辺ノイズ処理等によって、肉眼によってはもちろん従前の写真撮影の結果からは判読し得なかった筆圧痕や2条線の存在等(2条線痕が重要なのは、これにより筆記用具が特定されるからである。)を発見しており、同鑑定書によれば、本件封筒の「時」の部分の2文字及び脅迫状の掻き消された5文字がいずれも万年筆又は付けペンによって書かれたことが明かである上、脅迫状が草書体や行書体を正しく書きこなせる人物の手になることがうかがわれるのであって、本件封筒及び脅迫状が請求人の書いたものでないことは明白である、と主張する。
 同鑑定書は、平成13年2月27日当庁において、本件脅迫状及び封筒について拡大鏡、実態顕微鏡等を用いて詳細に閲覧し、同時に写真撮影し、これを基にコンピュータ技術を用いて鑑定を行い、上記のとおりの鑑定結果を得たというのであるが、本件脅迫状及び封筒の実物や同鑑定書添付の写真を具に見ても、上記の鑑定結果を導き出せるか多大の疑問がある上、本件封筒上の「少時」の文字が、「中田江さく」の文字と同様に、万年筆様のもので書かれ、他方、「様」の文字は、ボールペンで書かれているとの齋藤第2鑑定書の核心的判定部分が採用できないことは既に述べたとおりであるから、齋藤第3・柳田鑑定書の判断は、独断に過ぎるというべきであり、にわかに賛同することはできない。

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