石川さん宅の鴨居と万年筆
事件後、2カ月ちかくもたってから、下の鴨居の上から「被害者のもの」とされる万筆が発見されました。
この鴨居は石川さん宅のお勝手場の入り口で、床から高さ175.9cm、奥行き8.5cmしかありません。万年筆が発見された第3回目の家宅捜査の前、すでに石川さん宅は2度にわたって捜索されていました。1度目も2度目も10数人の刑事が2時間以上もかけて、室内はもちろん、便所、天井裏、屋根上、床下のほか、家の周辺で盛りあがっているところは掘り返すという、徹底的な家宅捜索でした。しかしそのとき万年筆は発見されなかったのです。それが3度目にたった2人の刑事が来ただけで、しかもわずか数分の捜索で万年筆が発見されたというのは、どう考えても不自然です。
ところが寺尾判決(東京高裁の確定判決)では、現場検証もしないで、「背の低い人には見えにくく、人目につき易いところであるとは認められない」といって、石川さんを有罪(無期懲役刑)にしたのです。
しかし、再審段階になって、家宅捜索にあったった元刑事らが、「ふし穴をしらべた」「かもいに手を入れてしらべたが、なにもなかった」と証言しています。
鴨居の位置
万年筆
左が被害者のものとされる万年筆です。しかしこの万年筆からは石川さんの指紋も被害者の指紋も発見されませんでした。それに中に入っていたインクは少なくとも事件の前日まで被害者が使っていたインクとは種類の違うものでした。