2005年3月31日午前11時30分から、連続・大量差別はがき事件の第4回公判が、東京地方裁判所第511法廷でおこなわれました。
この日の公判では、東京都内に住む2人の被差別部落出身者に対する「名誉毀損」(刑法第230条第1項)の容疑について、検察官の起訴状朗読、被告と被告弁護人の罪状認否、検察官の冒頭陳述がありました。
この日で、検察が起訴した事件(「私印偽造」1件、「名誉毀損」3件、「脅迫」5件の計9件)は全て法廷に出そろい、次回からは本人尋問など実質的な審理が始まることになりました。
部落差別意識が全ての犯行の背景に
この日検察官が述べた起訴事実は、概ねつぎのようなものです。
被告人は2003年10月頃、都内在住の2人の被差別部落出身者に関して「○○(被害者の名前)は特殊部落出身の穢多非人。やつらは部落解放同盟という犯罪暴力集団を結成している。○○もこの東京都連合会の役員をしている極めて危険な活動家。注意しましょう」などと記載したはがき数通を投函し、被害者方周辺の住民不特定多数にこれを到達させて頒布し、もって公然事実を摘示して被害者の名誉を著しく毀損したもの。
この起訴事実について被告は、「間違いありません。私がやったことです」と述べ、被告弁護人もこれまで同様「被告と同様です」と答えました。
この後、検察官は冒頭陳述を続け「被告は日頃から『被差別部落は自分より下の存在』という誤った認識(※部落差別意識)を持っていた」と指摘し、これが今回の全ての犯行の背景にあると述べました。あわせて関係証拠の採用を申請し、弁護人もこれに全てに同意したため、検察側提出証拠の全てが法廷で採用されました。
また弁護人からは、被告の情状についての証人(被告の父)と意見書の採用申請があり、検察側もこれに同意してやはり採用されました。
次回・第5回公判は5月6日―注目される本人尋問
次回公判では、いよいよ(1)被告への本人尋問、(2)弁護側申請の被告の情状証人(被告の父)への証人尋問が行われる予定です。
日程:5月6日10時(開廷)
法廷:東京地方裁判所(第7刑事部)第511号法廷