2004年10月19日正午過ぎ、警視庁浅草警察署は「連続大量差別はがき事件」の容疑者として、都内に住む34才の男性を逮捕しました。容疑者は現在、浅草警察署において取り調べを受けています。
この事件は2003年5月から始まりましたが、今日までに判明しているだけで個人・団体に対する差別脅迫文の送付が全国で400件以上(内東京都内分が275件)、物品の送り付けなどが数十件という、膨大な量になっています。これらの差別脅迫文を受け取った被害者の心理的圧迫は、筆舌に尽し固いものがあります。
浦本誉至史さんをはじめ、都内の被害者宅には10月19日の朝まで差別脅迫状が毎日届けられていました。その内容は、「おい浦本誉至史、お前は穢多非人の分際でまだ東京に住んでいるのか、早く出ていけ、出ていかないとお前の出身を暴露したはがきを足立区中にばらまいてやるぞ」といったものです。また、浦本誉至史さんを含む数人の被害者自宅周辺には、「部落民・浦本誉至史をこのまま○○町に住ませていたら、○○町は部落だと思われてしまいますよ、一日も早く追い出しましょう」などと差別を扇動する内容の手紙・はがきが送付されていました。浦本誉至史さんが住むアパートの大家さん宅にも、10月19日の朝までこうした手紙が届いていました。
単なる「脅迫」ではなく、明確に差別意識を持って部落差別を扇動し、被差別部落出身者を地域に住めなくするという目的を持った犯罪です。
事件の真相究明は今始まったばかりです。私たちは全ての被害者とともに、二度とこんな事件が起きない東京を作るために、全力で取り組みます。
【朝日新聞】
部落解放同盟関係者に脅迫はがき、容疑の無職男を逮捕
昨年春から東京や大阪の部落解放同盟の事務所や職員の自宅などに、「殺す」などと書かれた手紙やはがきが大量に送りつけられた事件で、警視庁は19日、東京都羽村市○○○○○○、無職S容疑者(34)を脅迫容疑で逮捕した、と発表した。S容疑者は容疑を認めており、同盟関係者に嫌がらせの手紙やはがきを100通以上送ったとも供述しているという。
浅草署の調べでは、S容疑者は昨年9月21〜23日に3回にわたり、足立区内にある部落解放同盟東京都連合会の男性職員(39)の自宅に「お前なんか、綾瀬川に沈めてやる」などと手書きで記したはがきを郵送した疑い。S容疑者は「都連合会の発行物に書かれている内容が気に入らなかった」と話しているという。
(10/19)
【毎日新聞】
脅迫容疑:解放同盟関係者宅に脅迫文書、34歳男逮捕
部落解放同盟東京都連の職員宅に、脅迫するはがきを送ったとして、警視庁浅草署は19日、○○○○○○、無職、S容疑者(34)を脅迫容疑で逮捕した。全国の解放同盟関係者宅などに昨年5月以降、差別を助長したり中傷する文書が約400通送付され、筆跡が似ていることから同署で関連を調べている。
調べでは、S容疑者は昨年9月、足立区内に住む同都連職員、浦本誉至史(よしふみ)さん(39)方に「綾瀬川に沈めて白骨死体になれ」などと書いたはがき3通を送りつけ脅した疑い。S容疑者は「解放同盟に関する本を読んで、内容に反感を持ってやった」と容疑を認めているという。
浦本さんは「今も毎日のように差別手紙が届いていて、不安で夜眠れない時もあった。できれば直接本人に会って、なぜこんなことをしたのか問いただし、謝罪させたい」と話している。
同都連によると、脅迫・中傷文書は昨年5月12日、港区の市場に届いたのが最初。その後、大阪、兵庫、広島などの府県連や、関係者の個人宅などにも送りつけられた。全国に届いた文書は計約400通、都内だけでも275通に上る。
関係者の名前をかたって高額の書籍、英会話教材などを注文する嫌がらせも50件以上あった。同都連の藤本忠義副委員長は「1年半にわたって差別、中傷を受け、関係者の精神的な被害が大きい」と真相解明を求めている。
(10/19)
※容疑者名および、容疑者住所はHP管理者の判断で伏字としました。