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連続・大量差別ハガキ事件の真相(抜粋)

         

部落解放同盟東京都連合会

       

1.連続・大量差別ハガキ事件の真相(事件の概要と経過)

 事件の発端―5月、東京食肉市場に差別封書

 2003年5月12日、東京食肉市場に差別封書と差別はがき(消印10日)が送られてきた。
 内容は「東京食肉市場というと聞こえがいいけどもようはと殺場、ブタ殺しの職えたのバカどもへ。…ブタのほうが食えるのでエタを殺したほうが社会のため。まずは組坂、松岡の二人から。…」(※1)というものだった。
 同じ頃、部落解放同盟大阪府連合会、同兵庫県連合会、同広島県連合会、同高知県連合会、同福岡県連合会に、差別封書があいついで送りつけられた。これらの封書は、全て同じ5月10日の消印を持っていた。
 食肉市場宛の差別封書と、全国的に送りつけられた差別封書は、その筆跡・消印等から、同一犯人のものと判明した。
 
 6月、部落解放同盟東京都連合会の各支部に差別はがき

 6月に入ると、差別はがきは新たな方向に拡大する。
 6月24日、部落解放同盟東京都連合会墨田支部(以下墨田支部・台東支部と表記する)の郵便受けに差別はがきがあることを発見、消印は21日であった。内容は「部落解放絶対反対。えた非人のくせして人間社会に出てくるな。…八王寺(※2)にもえた非人がいるときいて、生そく力の強さを感じ、一日も早く殺さないと殺さないといけないと感じた…部落征伐同盟副会長より…」というものだった。
 つづいて6月26日(消印)、荒川支部、足立支部、葛飾支部、練馬支部、そして28日には再び荒川支部に差別はがきが送りつけられてきた。
 足立支部に送りつけられた差別はがきには「部落征伐同盟のものだ。お前はえただな。…今日からお前はえた本えた史(※3)と名前を変えて外歩く時は首からボードを下げて私はえたです。と書いておけ。…えた岩えた興にも伝えておけ…えたを殺す会から」と書いてあり、部落解放同盟東京都連合会(以下都連と表記する)の役員と職員、ふたりの名前があった。犯人はここで同盟員個人を脅迫のターゲットにしはじめた。
 
 同盟員の自宅にいやがらせの物品
 
 6月26日(消印)から、犯人は同盟員の自宅にいやがらせ的に物品を送りつけてくるようになった。
 最初は文京区にある大手の出版社の購読申込書を使い、高額の図書2冊を同盟員の名前を騙って申込、都連同盟員浦本誉至史さんの自宅に代引(代金現金引き換え取引)で送らせた。
 つづいて、都連役員の自宅につぎつぎに物品を連日のように執拗に送りつけてきた。役員Aさんには8冊の本が代引きで送りつけられてきた。出版社に確かめると、はがきでAさんの名前を騙り申込んでいたことがわかった。はがきの筆跡は犯人のものだった。
 その後も英会話教材や化粧品、お茶、ダイエット食品などが10名近い同盟員の自宅に繰り返し送りつけられてきた。
 
 同盟員の名前を騙り、政党関係の雑誌に投稿
 
 7月には、犯人は浦本さんの名前を騙り、政党の機関紙購読の申し込みをおこなった。また、浦本さんの名前を騙り、政党の中央機関誌に投稿するという極めて悪質な行為をおこなった。この雑誌は全国の書店で販売されており、公然と浦本さんの思想・信条を侵害した許せない行為であった。

 B市の部落に差別はがき
 
 7月19日(消印)、B市の被差別部落に住むCさんの自宅に差別はがきが送りつけられてきた。内容は「身元調査をした結果お前たちが特殊部落出身すなはちえたであることがわかった。…Bという山と川の美しい市にえたのような汚れてケガレているダニは一ぴきもいらない。そこでお前たちにB市から出ていってもらうことになった。もし7月29日までに出ていかないとCはえたであるというチラシをBじゅうの家に配ってBに住めないようにしてやる。…」と脅迫するものであった。
 犯人は、Cさん宅に執拗に何通もの差別はがきをおくりつけたあと、7月下旬には、少なくともCさんの近所10軒以上に差別はがきをばらまいた。その内容は「身元調査したらお前が特殊部落つまりえたである可能性が強いことがわかった以下お前がえたという前提で話していく。…お前たちはB市から7月31日までに出ていけ。もし出ていかなければB市の各戸にお前がえたのダニ共であるというハガキを送ってお前らがB市に住めないようにしてやるからな。…○○○○の家に居る娘は…」とCさんの住所と名前を書いた上で、ありもしない不倫をデッチあげ、Cさんの娘さんの名誉を著しく傷つけたのである。
 B市の部落は戸数120戸の比較的大きな部落であるが、いわゆる未組織部落であり、部落解放同盟の支部はない。Cさんを含め数人の方が最寄りの支部に加盟している。このような未組織部落に差別はがきを大量に送りつけることは、極めて差別的な犯罪行為である。
 とりわけ、部落解放運動に立ち上がっているCさん一家をターゲットに執拗に差別脅迫し、娘さんの名誉を著しく傷つけた差別行為は絶対に許すことはできない。腹の底からの怒りを禁じえない。
 
 ライフラインに手をつけた犯人

 7月まで連日のようにつづいた差別はがき、物品のおくりつけは、8月中は一端とまった。しかし8月28日、再び墨田支部に送られてきた差別はがきを皮きりに再開される。以降、各支部や同盟員個人宅への執拗な差別はがきが続いた。
 そして、ついに犯人は9月下旬から10月上旬にかけて、2軒の同盟員宅の「電力契約の解約申し込み」をはがきでおこなうという前代未聞の差別犯罪に手を染めた。2軒とも電力会社の社員が実際に電気を止めにきた。Dさんのお宅では、留守中にブレーカーが落とされ電気が切られていた。不審に思ったDさんが電力会社に問い合わせたところ、はがきで勝手に解約申し込みがなされていることが分かった。はがきを取り寄せたところ、その筆跡は一連の差別はがきと同一だった。
 犯人はついに、私たちのライフラインにまで手を付けたのだ。
 
 同盟員の自宅周辺に差別はがきをばらまく

 9月から10月にかけて、犯人は、台東区、品川区、足立区、B市で同盟員の自宅周辺に差別はがきをばらまいた。
 台東区では2人の同盟員の自宅周辺に差別はがきがばらまかれた。犯人はまず、当該同盟員の自宅に「…お前のアパートの他の部屋の人にお前が特殊部落出身のえたであることを暴いてやる。そしてお前はアパートを追放されて川へ飛び込む…」という予告のはがきをおくりつけてきた。その直後、近所の家々に「○○の××は特殊部落出身のえたです。…△△もこの集団の東京都連合会の役員をしている大変危険な活動家です。…あなたの近くにこんな危険な奴がいます。」という差別はがきをおくりつけた。明かに犯人は、当該同盟員がその地域に「住めないようにすること」を目的にはがきをばらまいたのである。
 もう一人の同盟員の自宅では団地の同階の住民7軒に差別はがきが送りつけられた。内容はほぼ同じである。
 足立区でも同盟員の住む団地と民間アパートで、品川区でも団地で、同様の手口で同様の内容の差別はがきがばらまかれた。また、B市ではCさんにつづいて、Eさん(都連役員)に差別はがきが送りつけられるとともに、B市に住むEさんと同姓同名の人の自宅にも何通もの差別はがきが送りつけられた。この人は部落解放同盟と何ら関わりはない人であり、犯人は間違えておくった可能性がある。しかも、この同姓同名の人の周辺にも、少なくとも10軒にはがきが送りつけられた。

2.事件の特徴と差別性

 事件の特徴―「一線」を越えた史上最悪の差別事件

 この差別事件の特徴の第一は、差別はがき・封書等が大量であることである。わずか半年の間に125件に達しており、ほぼ連日のように事件が発生している。93年に発生した元慶応大生による差別脅迫事件と比べても、際立って多くかつてない差別事件である。
 第二の特徴は、差別はがきや封書以外にも、物品を送りつけてくるという新たな手口を実行に移している点である。しかも、同じ同盟員に対して執拗に何度も送りつけてきており、極めて卑劣なやり方である。
 第三の特徴は、同盟員に「住めなくしてやる」と脅迫はがきを送りつづけ、そして「○○は特殊部落民」「危険な活動家」などと書いたはがきを近所にばらまく差別行為を実行に移している点である。
 犯人は、差別行為を予告し、その後実際にそれを実行した。この事件が「確信」を持ってなされた差別行為であることははっきりしている。被差別者を地域社会から実力をもって排除そうとする、許し難い差別行為である。
 第四の特徴は、同盟員の自宅の電気をとめるために電力会社に「引越しするから電気をとめてほしい」との差別はがきを送るなど、ライフラインにまで手をつけたということである。
 このような特徴を見ると、今回の差別事件は史上最悪の差別事件であり、最も攻撃的な差別事件であると言わなければならない。
 これまでも「えたを殺せ」などの差別落書きは増加し、攻撃的な差別事件は増えていた。しかし、今回の差別事件は実際に同盟員個人をターゲットにし、具体的に同盟員の命と生活を脅かしている。明らかに今までの差別事件から「一線」を超えている。

 事件の差別性

 この差別事件の差別性は、次のように整理される。
 まず第一は、事件の特徴にもあらわれているように「同盟員(被差別部落民)個人の生命と生活を脅かす」差別行為である点にある。被害を受けた同盟員、特に家族は、脅迫はがきや物品がおくりつけられる度に、いい知れない「恐怖と不安」に苛まれている。そのため「不安で眠れない」と訴える人も多数出ており、その精神的被害は甚大である。しかも犯人は、ライフラインにまで手をつけ、具体的に個人の生活を脅かしているのである。
 第二に「住めないようにしてやる」とする今回の差別行為は、地域社会からわれわれを排除しようとするものであり、また、そのために部落出身を暴露した差別はがきを近所にばらまくなど、地域社会の差別を煽動するところにある。ここには、犯人の差別排除・排外主義的な思考がはっきりとあらわれており、今回の事件の最も許し難い差別性であると指摘しなくてはならない。
 第三に未組織部落であるB市の部落に差別はがきがばらまかれ、そんな中でも勇気を持って部落解放運動にたちあがっている同盟員Cさんに対して、集中的に差別はがき等をおくりつける差別行為を繰り返して点にある。さまざまな歴史的要因でB市の部落の人々は、長い間運動から遠ざかり、差別から逃れるように生きてきた。その未組織部落のなかまに対して出身暴露をした差別はがきをばらまいたのであり、Cさんは勿論、B市の部落のなかまの「恐怖と不安」は察してあまりある。
 また、部落解放運動に立ち上がってきた同盟員一家に対する差別行為は、差別をなくすために勇気をもって運動に参加し闘ってきた人間の尊厳と誇りを踏みにじる行為であり、決して許すことのできない差別行為である。
 B市のなかまのことを考える時、犯人に対して腹の底からの怒りがわきあがってくる。 

3.都連はどう闘ってきたか(主な取り組みの経過)

(1)被害者の同盟員を守る闘いに組織をあげて取りくむ
 
(略)

 実態把握・調査活動

(略)
 
 B市Cさん一家を守り支える取り組み

(略)

 差別事件対策会議・糾弾闘争本部会議

(略)

 同盟員の近所にばらまかれたはがきに対して

(略)

 物品の送りつけに対して

(略)

(2)犯人の特定の闘い

(略)

(3)刑事告訴をめぐる取り組み

(略)

(4)法務省東京法務局との折衝

(略)

4.連続・大量差別ハガキ事件糾弾闘争の方向

(略)

【注】

※1)「組坂、松岡の二人」とは、部落解放同盟中央本部の、組坂繁之中央執行委員長と松岡徹書記長を指すと思われる。
※2)八王子のことと思われる。
※3)「えた本えた史」は、浦本誉至史さんのことと思われる。

     

2003.12/11

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