主張 
再審法改正待ったなし 本国会で成立を
~最初から証拠開示されていれば石川さんはとっくに無罪が確定していた~



 「再審法改正議員連盟(以下「議連」)」は2025年2月26日総会を開催し、刑事再審に関する刑事訴訟法の一部を改正する法律案骨子たたき台(以下「再審法改正案」)の取りまとめを行うとともに、今国会に再審法改正法案を提出し、その成立を目指す方針を確認したようだ。「議連」には2月17日現在では国会議員の52%を占める373名が加入しており議員立法での成立を目指す。

 今回、「議連」が取りまとめた「再審法改正案」は、①再審請求審における証拠の開示命令、②再審開始決定に対する検察官の不服申立ての禁止、③再審請求審等における裁判官の除斥及び忌避、④再審請求審における手続規定の整備を内容とするものである。

 「袴田事件」では、昨年、2024年に再審無罪が確定したが、逮捕から58年、第1次再審請求から43年かかっている。この内10年は、静岡地裁の再審開始決定に検察官が即時抗告したことによるものである。

 「狭山事件」では、不当逮捕から62年、第1再審請求から48年も過ぎ、未だ再審は開始されていない。しかも2025年3月11日に石川一雄さんは無念にも帰らぬ人となってしまった。86歳だった。第1次再審で証拠が開示されていたならば存命中に無罪が確定していただろう。

 冤罪を晴らすために1つの人生では足りないほど長い時間を要する。このような長期化の原因となっている再審法の不備を是正するため、再審法改正にはもはや一刻の猶予も許されない。

 法務省は再審法改正の議論を法制審議会に諮問しているが、特に4項目の改正は一刻の猶予も許されないものであり、法制審議会において年単位での検討を行うなどは法改正の先延ばしでしかない。法務省は特に重要な4項目についての再審法改正を積極的に推進すべきだ。

 「狭山事件」では、東京高裁の家令和典裁判長は3月17日付けで、石川さんが亡くなったことを受け審理を終了する決定をした。民事訴訟では親族らが引き継ぐ「受継」の規定があるようだが、審議を継続できる規定が再審法にも必要だ。今後、石川早智子さんが申立人となり第4次再審請求をおこなうことになるが、第3次再審請求が棄却されたわけではないので、提出してきた新証拠や積み上げてきた協議内容は継続されるべきだ。