東京都は、2024年7月から8月にかけて実施した人権に関する都民意識調査(以下「2024年調査」)の結果を昨年12月に公表した。本調査は2023年に続き実施され、同様の調査は、2020年、2013年にも実施されている。
部落問題に関する設問は、「あなたが同和地区や同和問題についてはじめて知ったきっかけは何ですか?」と「仮にあなたが同和地区の人と結婚しようとしたとき、親や親戚から強い反対を受けたら、あなたはどうしますか?」の2設問。この調査により、部落問題の認知度と認知した媒体、結婚に対する態度の意識傾向が分かる。尚、調査結果の詳細は東京都人権部のホームページで公表されているので参照していただきたい。
「認知度」
まず、「認知度」は、2024年調査70%、2023年調査70%、2013年調査81%と1年間では変化はないが、約10年で10ポイント減少している。認知度は年齢が低くなるほど低く、20歳代は、2024年調査54%、2023年調査52%、2013年調査69%と1年間で2ポイントほど改善したが、約10年で15ポイント減少している。
「認知媒体」
部落問題を知ったきっかけで多いのは、「学校の授業」16%、「テレビ、ラジオ、新聞、本等」12%、「家族」10%で、この3媒体で38%を占める。20歳代では、「学校の授業」12%、「インターネット」10%、「テレビ、ラジオ、新聞、本等」7%とインターネットが上位に入る。
「結婚に対する態度」
「強い反対を受けたらどうしますか」という設問に、①自分の意識を貫いて結婚する、②親の説得に全力を傾けたのちに自分の意識を貫いて結婚する、③家族や親戚の反対があれば結婚しない、④絶対に結婚しない、⑤わからないの5つの選択肢が設けられている。①+②を「結婚グループ」、③+④を「非結婚グループ」とした場合、「結婚グループ」は、2024年調査40%、2023年調査42%、2013年調査57%と1年間では2ポイント減少し、約10年で17ポイントも減少している。この減少傾向と対照的に「わからない」は、2024年調査47%、2023年調査45%、2013年調査28%と1年間では2ポイント増加し、約10年で19ポイントも増加している。「非結婚グループ」は、2024年調査13%、2023年調査13%、2013年調査15%と1年間では変化なく、約10年で2ポイントほどしか減少していない。
「正しく知る機会」の大幅な増加を
「結婚グループ」が4割しかいないこと、20歳代は37%で若い世代が平均より低いことは重く受け止めるべきである。まさに危機的事態である。
今回の調査でも、総じて、「認知度」も「結婚グループ」も悪化傾向にあり、「わからない」が増加傾向にあること、そして、この傾向は20歳代、30歳代など若い世代に顕著であることが分かった。
「正しく知る」機会を大幅に増やし、人権意識の改善の道筋をつけていかなければならない。