港区立郷土歴史館が「穢多村」表記のある古地図を展示 港区が見解をまとめる



 港区立郷土歴史館が、昨年の7月20日から9月29日まで「夏休み企画展 発見!探検!江戸のまち~江戸時代の地図で港区めぐり~」で、「穢多村」「エタ村」という表記のある江戸古地図を何等の配慮なく4枚展示していたことが発覚した。

 「穢多村」表記のある古地図の展示については、部落解放同盟中央本部が2003年に「古地図・古絵図刊行および展示に対する基本的考え方について」を示し、「歴史研究・史料における古地図・古絵図などの取り扱いについては、被差別部落の地名や身分呼称が出てくること自体を問題視しているのではないこと。またそうした言葉を消したり、伏せ字にしたり、その前後の文章を削除することを求めているわけではないこと、などを明らかにしている。その上で、部落問題の場合、歴史的な史料といえども、その扱い方によっては、現実にある差別意識や、予断と偏見と安易に結びつくところに、とくに配慮をしなければならない」「学術的な利用も含めて、相当な配慮をした上で協議しながら、地名などの取り扱いを決めていくべきである」と提起した。かつ、今日のインターネット時代においては「配慮」の度合について十分協議が必要だ。

 このような観点で、港区立郷土歴史館の古地図展示問題について、都連と品川支部は、港区と話し合いを持った。港区は総務部人権・男女平等参画担当が対応した。

 港区は、今年の1月14日の話し合いにおいて、①学芸員など展示スタッフは問題は認識していたが写真撮影禁止のみで十分と考え、今なおある差別が拡大する可能性について認識がなかった。②今後展示にあたっては、部落差別についての十分な説明と差別は許さない区の態度を表明したうえで実施する。③展示方法については当事者団体の助言を得ながら進める。④引き続き、新入研修や階層研修など機会をとらえて職員の知識を深めるとともに職員ハンドブックの改定時に改めて周知するとした。