当事者の視点に立った人権研修を 第11回部落問題東京講座



第11回部落問題東京講座

 東京部落解放研究所は、第11回部落問題東京講座を5月26日~28日の3日間開催し、89名が受講した。

 本講座は、企業や行政、または地域の中での部落問題研修の講師や「人権担当者」を対象に部落問題に特化した講師養成の性格を有し、部落問題研修の形骸化を防ぐため、東京の部落の「地域性」と「当事者性」を重視する。

 開講にあたり、長谷川三郎理事長が主催者挨拶を行ない、司会を押田五郎理事が務めた。

 第1講は「ガイダンス東京の部落問題と出会うために」と題して藤本忠義理事が、東京の部落の近代から現代における差別の実態と産業、部落問題の学習啓発を積み重ねていくことの重要性を講義された。

 第2講は「東京の部落差別事件と差別を許さない社会づくり」と題して近藤登志一常務理事が、ネット上の部落差別情報と「情プラ法」施行、昨年の都知事選選挙差別ポスター掲示事件等、直近の部落差別事件と法整備の現状を報告し、包括的反差別法の整備の必要性を講義された。

 第3講 は「部落地名総鑑発覚50年を機に」と題して東京人権啓発企業連絡会名誉顧問の山岡尚哉さんが事件から人権啓発企業連絡会の発足、現在に至る活動の経緯等を丁寧に講義された。1975年に発覚した本事件について差別図書を購入していた企業だけでなく、当時の日本の企業全体の問題であり、それを是とする日本社会の問題であったと総括された。

 第4講 は「東京の部落史を学ぶ」と題して東日本部落解放研究所事務局長の鳥山洋さんが、江戸時代の関東一都六県は弾左衛門役所の下、被差別民が社会の構成員として重要な役割を担っていた事など、最新の歴史研究に基づき講義され、正しい歴史の知識を持つ事の必要性、部落問題を学ぶことは人権問題の基礎を学ぶことであると訴えられた。

 その後、芝浦と場のフィールドワーク受講者を対象に事前学習として元と場労働者の高城順さんが特別講義を行った。

 第5講は台東・芝浦と場・墨田の3個所に別れて現地学習を行った。