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 ■INDEX私たちの主張

21世紀に見合う、新しい就職採用のあり方を

      

 日本アイビー社による差別身元調査事件が発覚してから、3年が経過した。
 大阪で発覚した事件であったが、東京に本社のある200余りの企業が日本アイビー社の顧客名簿に記載されており、その内半数近くの企業が身元調査を依頼していた。更にこの日本アイビー社の東京本社というのがまた別に存在し、その社長が言うには「1000ほどの企業と取引があり、その内6・7割は採用時の身元調査等の依頼であった。他の興信所もほぼ同様ではないか。」というもので、今回発覚しているのは氷山の一角であることを明らかにした。
 東京には「公正採用選考人権啓発推進員」の設置を義務づけられている企業、つまり、従業員が100人以上の企業が12000社ほどある。これらの企業の9割以上に「推進員」が設置されていることになっている。しかし「差別身元調査事件」の調査活動の中で、「推進員」制度が形骸化しており、有効に機能していないことが判明した。また、従業員が100人に満たない企業も多数身元調査を依頼している事実が判明した。
 こうした事実から私たち東京都連では、推進員に対する研修や啓発のあり方、さらには「100以上の従業員」という設置基準の見直し等を関係行政に要求しているが、それと同時に6月を就職差別撤廃のための月間として位置づけ、運動側も企業もさらには国及び都の行政も一体となった取り組みを行なうように提案し、昨年からそれが実現した。
 今年も昨年同様、「就職差別撤廃」東京実行委員会を結成して、6月7日に集会を開催することとなり、準備を進めてきた。昨年は求職者の個人情報の取り扱いが職安法の改正により大きく変わったものの、その内容や運用について十分に浸透していないという中での集会であった。今年はそれらも徐々に浸透し、また、個人情報保護法の内容がほぼ確定し、更には就職差別を禁止するILO111号条約の批准についての動きもでてきている中でもたれる。
 更に加えて、昨年制定された「人権教育啓発推進法」は、国や自治体の行政機関は勿論、企業にも研修や啓発を求めており、更に、5月25日には「人権擁護推進審議会」から「人権侵害による被害の救済について」の答申が出されるなど、就職差別をなくそうとする環境は大きく前進しつつある。
 こうした情勢を追い風に、「就職差別撤廃」東京集会を様々な立場の人々の広汎な結集で成功させ、「差別身元調査事件」の中で明らかになった実態の変革に向けた取り組みへとつなげていかねばならない。そして、これらの取り組みの中から、人権の世紀といわれる21世紀に見合った、新しい就職採用のあり方を確立しよう。

《解放新聞東京版525号「主張」より》

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