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石原都知事は三国人発言を撤回し謝罪を

           

 私たちは石原慎太郎東京都知事の、いわゆる三国人発言について、その撤回と関係者への謝罪を求めています。

《声明》

   

石原慎太郎東京都知事の差別発言に抗議する

  

2000年4月14日

部落解放同盟東京都連合会
執行委員長 石居秀夫

 石原慎太郎東京都知事は、4月9日におこなわれた陸上自衛隊第1師団の「創隊記念式典」に出席し、「東京では、不法入国した三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返している。大きな騒じょう事件すら想定される。警察の力には限りがあるので、自衛隊も、治安の維持も目的として遂行してもらいたい」とあいさつした。また、自衛隊についても「国家にとっての軍隊の意味を国民、都民に示してほしい」などと発言した。
 私たち部落解放同盟東京都連合会は、この差別発言と憲法無視の国家主義的な発言に対して断固抗議するとともに、発言の撤回と在日外国人および関係団体への謝罪を強く申し入れる。
 今回の都知事の発言にある「三国人」という言葉は、戦後の日本において、取り締まりや監視の対象として差別する意図をもって、特に在日朝鮮人・韓国人、台湾人をさして用いられた明確な蔑称=差別語である。都知事は今回の発言で、あえてこの言葉を用い、東京で在日朝鮮人・韓国人や台湾人が凶悪な犯罪を起こしているかのように決めつけている。東京では関東大震災の直後に「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」というデマによって多くの朝鮮人が虐殺された歴史的事実がある。今回の都知事の発言は、こうした痛恨の事実を全く反省することなくおこなわれたものであり、悪質な差別扇動発言といわなくてはならない。
 石原都知事は12日の記者会見において、「(「三国人」という言葉は)誤解を招きやすいなら今後は使わない」としながらも、「謝罪の必要はない、問題は報道にある」として、むしろ開き直る姿勢をみせている。また「不法入国の外国人が凶悪な犯罪を繰り返している。私は、震災などのときには騒じょうを起こすと思っており、軍隊である自衛隊がそのときの治安の維持にあたるのは当然である」と繰り返し、一連の発言について一切反省する必要はないと述べた。
 石原都知事のこうした認識、いわゆる「不法入国の外国人」一般が凶悪な犯罪者であり、騒じょうを起こす可能性があると見なすこと自体、あまりにも短絡的で事実を誇張した極端な認識といわなくてはならない。社会一般に根強く存在する差別排外主義を刺激し、扇動するようなこの発言は、到底知事たる立場にある人間がおこなってよいものではない。石原都知事は「三国人」という蔑称の問題だけではなく、発言全体を直ちに撤回し謝罪すべきである。
 石原都知事の一連の発言は、日本が批准している「国際自由人権規約」や「人種差別撤廃条約」にも違反しており、国際的な非難も受けている。また、東京都はこれまで、部落差別はもとより人種差別、民族差別をはじめとするあらゆる差別の撤廃にむけた努力を進めると重ねて表明しているが、今回の差別発言はこうした努力さえも無にするものである。
 一部の報道によれば、今回の石原都知事の発言をむしろ許容するかのような世論も都民の間にはあるとのことであり、私たちは、なおさら強い懸念を覚える。私たち部落解放同盟東京都連合会は、現在東京都が進めている人権施策推進指針などに関して、都内のさまざまな被差別当事者団体とともに東京都に対する働きかけを行ってきたが、今後は、石原都知事の差別発言を許容するかのようなこの社会の変革のために、いっそう当事者間の連携と取り組みの強化をはかっていくものである。

以上

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