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差別脅迫事件を教訓に、有効な人権救済機関を

                 

 1月12日の「差別脅迫はがき事件」の判決公判で、被告の元慶応大学生にたいして、「懲役1年6カ月執行猶予4年」の刑が言いわたされた。判決は差別はがきの内容を全面的に引用し、千葉の私立学園の元校長への(イジメを放置したことの)復讐に部落解放同盟を利用し、部落差別を利用したことは、陰湿卑劣であるとし、新たに部落差別を助長したと述べている。
 被害者も我々も、元慶大生側が真摯な反省と今後の話し合いを約束するなら、厳罰を求めないとの立場で臨んできたので、判決で「執行猶予」のついたことに異存はない。私たちが最も注目していたのは、判決の事実認定や理由の中でどれだけ踏み込んで部落差別に触れるかということであった。
 この事件は同盟員の個人宅に、部落民に対する憎しみに満ちた差別脅迫はがきを出すことで、その同盟員個人を恐怖に陥れ、部落解放同盟を挑発し、糾弾によって差出人として名前を使われた人に復讐しようとしたものであった。当初警察は「悪質ないたずら」として「告訴」を受けつけず、被害届で済ませてお茶を濁そうとした。こうした体質は何も警察に限らず、検察や裁判所にも共通していることを、私たちは狭山の闘いで知っている。この判決も脅迫罪の面が強調されて、はがきの中の部落差別の深刻さにどれだけ触られられるか、疑いをもって注目していた。ところが、判決の内容は事前のそうした危惧を払拭するもので、部落差別の問題として取り上げており、肯定的に評価できるものとなっている。
 今回の「差別脅迫事件」は、慶応大学の協力もあって逮捕前に既に犯人が特定されていたこと、桶川等のストーカー事件での警察の対応に世論の非難が高まっていたこと、朝日新聞が大きく取り上げていたこと等が重なって、犯人が逮捕され起訴されたという極めてまれなケースであった。差別落書やインターネットの掲示板への差別書き込みなど、同種の匿名性の強いこうした事件は、多くの場合被差別者の泣き寝入りとなる。
 今、人権擁護推進審議会で「人権侵害による被害の救済」について中間報告が出されているが、こうした課題については「引き続き検討する」として、何ら有効な対策が示されていない。私たちはこの事件の調査の段階で、かなりのところまで「犯人」に迫ったが、何の権限もない中で関係者の協力が十分得られず、「犯人」を特定するまでに至らなかった。中間報告では独立した第三者機関に一定の調査権限を与えることが提言されているが、その独立性が疑わしく、マスコミも調査対象にしたこともあって、新たな思想統制に繋がるのではないかと、批判が強い。部落解放運動の側から見ても、糾弾闘争を阻害するものになってはならない。こうした批判を踏まえ、有効な人権救済機関の設置が望まれる。

《解放新聞東京版517号・主張より》 

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