部落解放同盟東京都連合会がインターネットのホームページを開いて一年余りが経過した。そして、三万人余の人がこのホームページにアクセスした。一年で三万という数は予想を上回る順調な数で、関係者一同心を強くしている。今後も、さらに多くの人にアクセスしていただけるよう、その内容の充実にむけ努力する決意である。
ところで私たち東京都連でホームページを開設しようと思ったのは、インターネット利用者の中の一部の者たちが行うきわめて悪質な差別扇動行為に対して、当事者の側から部落解放運動の視点に立ったメッセージを発していく必要を強く感じたからである。
インターネット利用者の数はすごい勢いで増え続けており、さまざまな情報等が発信され、多くの人がそれを利用したり活用したりしている。私たち部落解放同盟の中でも、メールで原稿のやり取りをしたり、政府や東京都など公的機関のホームページから必要な情報をとったり、廉価で優れた物品の購入をしたりと、インターネットは大変役立てている。しかし一方で、差別を目的とした掲示板を設置し、全国各地の被差別部落の地名や部落出身の芸能人やスポーツ選手の実名を挙げて差別を扇動するなど、許されない行為が横行している。さらに最近では、個人名と住所を特定し「こいつは部落民だ。殺してくれ」と殺人を扇動する犯罪行為にエスカレートするものまででてきている。
このような状況の中で、幾ばくかの思いを持ってインターネットで情報を発信している。
部落出身を隠して、社会生活を送っている多くの仲間には、ぜひ私たちのホームページを見てもらいたい。特に東京には全国の部落の仲間が沢山集まっている。その仲間たちに対して、様々な形で部落差別が襲ってきている。インターネットを通した私たちのメッセージが、これらの仲間に一人でも多く届けることができればと思っている。
また、差別目的の掲示板のやり取りを見ていると、この掲示板にふれることで差別意識を持った者の存在することがわかる。解放運動の側からの部落問題の的確な情報を提供し、差別を拡大することを少しでも防がねばならない。さらに差別ネタを振りまいている確信犯に対しては、差別はがき脅迫事件で犯人を追い詰めたように、私たちは必ず差別者を特定し、的確な手段で糾弾することを伝えなければならない。
また、部落問題について素朴な疑問を持っている人や、エセ同和等の被害で悩んでいる人、部落解放運動を支持してくれる多くの人、それらの人たちにも、的確な情報を提供していかねばならない。
新たなメディアであるインターネットを差別者の道具にさせないで、解放運動の武器としなければならない。
《解放新聞東京版527号・主張より》