「連続・大量差別はがき事件」の犯人から、04年1月16日付で、03年12月に行った「終結宣言」を撤回し、「特殊部落出身のえた非人のダニ共に対する怒りとにくしみが再びこみ出してきて再会(ママ)することにした」との手紙が送られてきた。
犯人は12月の「終結宣言」で、「すみません。もうやめます」と繰り返した上で、この事件の「総括をホームページに載せてください」と書いていた。私たちが犯人の終結宣言を受け入れ、東京都連のホームページで「勝利宣言」をしてこの事件の幕を引くことを期待していたようであるが、その期待に反して、「われわれの前であやまらせる」までは追及の手を緩めないことを知って、また犯行を再開したのである。犯人は手紙の中で、「脅迫罪」などの法にふれることを極端に恐れている。「殺すとかいても本気で殺すつもりはなかったのだから、罪にはならない」と、身勝手な屁理屈をもてあそんでいる。自己中心的で臆病な醜い差別者の姿が浮かび上がってくる。
今回のように「脅迫罪」等の刑法に触れる悪質な差別事件は、かつて93年から7年近くにわたって繰り返された元慶応大学生による「差別脅迫はがき事件」以来、2件目である。元慶大生の事件は、彼が恨みを持っている人の名前を差出人として使い、私たち部落解放同盟やその会員に差別手紙を出して挑発し、差出人にわ怒りを向けて報復しようとしたものであった。共産党や全国部落解放運動連合会の出版物で部落や解放同盟に対する差別意識を植え付けられた男が、差別手紙を出せば「差出人」とされた人は「解放同盟の恐ろしい糾弾を受けることになる」と思い込んでやったというもので、その動機ははっきりしていた。しかし、今回の犯人は差別そのものが目的で、差別することが楽しいという、いわゆる「愉快犯」である。それだけに余計悪質である。
インターネットのホームページに設けられた「掲示板」にこの犯人の手紙の内容と同質の悪質な差別書き込みが行われるようになって久しい。「プロバイダー責任法」ができたり、ホームページの管理者が裁判に訴えられ、多額の賠償を払わされるなどして、かつてほどではなくなっているが、部落に対する差別を扇動する内容に変わりはない。彼らもまた差別することが楽しくてしようがない醜い差別者たちである。
今回の「大量・連続差別はがき事件」で私たちはなんとしても犯人を捕まえる決意である。手紙や物品を送りつけられ大変な被害を受けた人たちに対し、謝罪をさせ責任を取らせるというのがその主要な目的であるが、同時にこうした事件の再発を防ぐ上でも、犯人を捕まえる必要があると思っている。インターネットでの差別状況を見たとき、同様の犯行が続くのは避けられそうもないからである。
《解放新聞東京版580号・主張より》