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(死体及びこれと前後して発見された証拠物によって推認される犯行の態様について。)
その一六 玉石・棒切れ・ビニール片・○△青果の荷札・残土・財布・三つ折財布・筆入れについて。
(1)玉石について。
所論は、五・四員大野喜平作成の実況見分調書をみると、死体とともに「死体の右側頭部に接して人頭大の玉石一個を発見し」と記載されているが、被告人はこの玉石に触れた供述をしていない、そして、死体発見現場の土質からみてもそのような玉石が自然にそこに存在したとは考えられないので、おそらく犯人が被害者の死体を埋没する際に他所から持って来たものと考えられる、また、地中にあったとしても犯人ならば必ず玉石があったことを記憶していてこれについて説明するはずである、玉石について全く供述していないのは、被告人が死体を遺棄した犯人でないからであって、死体遺棄に関する被告人の自白は信用することができないというのである。
そこで、当審に至って提出された玉石(昭和四一年押第二〇号の6)をみると、これは土木建築の基礎工事に使われる程度の何の変哲もないやや丸味のある児童の頭位の大きさで、重量約四・六五瓩のものであるが、土が付着している状態を観察してみても、また、所論指摘の関係証拠によってみても、この石塊が以前から土中にあったものか、それとも茶株の根元辺りにあったものが、死体を埋めるために農道を掘り起こして埋めもどす際転がり込んだものか、何とも判然しない。
しかし、被告人が死体を埋没するため現場で土を掘ったのは、暗闇の中のことであり、懸命に急いで作業をしたと推認されるから、作業に夢中のあまり、石塊の存在に気付かなかったか、気付いても記憶に残らないということもあり得るから、被告人が捜査段階でこの石塊のことに触れた供述をしていないからといって、被告人が犯人でないとはいえない。右の右塊が周辺地域の墓制からみて、墓石(拝み石)ではないかとの所論は、なにしろ埋没した場所は人が踏み付けて通る農道であるだけに到底賛同することができない。
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