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(死体及びこれと前後して発見された証拠物によって推認される犯行の態様について。)

その一六 玉石・棒切れ・ビニール片・○△青果の荷札・残土・財布・三つ折財布・筆入れについて。

 (3)ビニール片と「○△青果」の荷札について。

 所論は、五、四員大野喜平作成の実況見分調書には「発掘し始めた穴を更に掘り下げるに古い茶の木の葉やビニールの汚れた紙片等が土に交って掘り出された」との記載があり、同調書添付の11号の写真には「(ち)(※実際の判決文では○の中に「ち」と書かれているが、文字がないのでこのように表記する)ビニール布」との説明があるビニール布が写し出されている、このビニール布について被告人は自白調書中で何も供述していない、他方、五目七日付朝日新聞夕刊(東京三版)には「捜査本部は死体についてあった布きれについていた東京築地市場の○×青果(なお同紙五月六日夕刊、東京三版には『○△青果』とある。)の荷札は、その後の調べでは地元の堀兼農協が農作物の出荷用に主としてKA地区の農家に配っているもので、農家は便わないで残った分は畑を区切った時の目印などにしたりするほか、農家以外にも多少流れていることがわかり、犯人が地元にいることの一つの裏付けがとれた。」との記事があり、この記事と前記のビニール布とが妙に結びつく、つまり右記事によると○△(又は○×)青果は堀兼農協に対し出荷用としてビニール布と荷札を提供していた模様で、その出荷用ビニール布と荷札が死体とともに発見されたのではないかと推測される、しかし、この荷札もビ二ール布と同様領置されていないし、被告人の自白調書にも全く現れない、本件の捜査には疑惑があるというのである。
 しかしながら、死体発掘現場の実況見分調書を作成した員大野喜平は、当審(第四四回)において、「(実況見分調書に記載してある茶の葉というのは、)その馬道のすぐそばは茶のさくになっていて、その根元のほうからかき込んだものの中に厚葉のものが多少古いものでも入ったというような感じでした。
 ビニール紙片は、私の感じで、農家の人が冬、苗なんかを作った時ビニールの、こう竹かなんかにかぶした、よく温室というか、暖かく栽培するそういうものの、破けたものが、ちぎれたものが風が吹いて茶のさくの方に引っ掛かっていたもののように思うんです。」と証言し、他方、本件捜査に携わった員将田政二は当審(第五〇回)において、「あの荷札は被害者の死体から縄をほどく時、頭の部分とか足の部分というのが、わかんなくなっちゃいますね、そのために死体の解剖をやった鑑識がほどく時につけたんだということだったと思います。」と証言しており、現に前示の実況見分調書添付の」与真27・28・30・31号を見ると、死体から手拭を切り取った際その原状を示すために荷札が付けられており、各荷札の表に、「○△青果」と表示されていることが裏から透視できるのである。
 叙上の関係証拠に徴すれば、ビニール片は、農家でビニール栽培用に使用したものが風に飛ばされて、たまたま農道近くの茶垣の根元辺りに吹き寄せられていたか、又は偶然その辺にあったものが掘り出した土と一緒に穴の中に埋められたのではないかと考えられ、また○△青果の荷札は、警察官が証拠物件を整理するために付けたものと認められる。してみれば、所論が指摘する新聞記事は、記者の想像を交えた独白の判断を記事にしたものと考えられる。

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