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(六) 大類鑑定書
大類鑑定書は、本件脅迫状の句読点の用法と本件当時の請求人の句読点使用の状況とを比較検討した結果として、本件脅迫状は、高度な句読法を用い、部分的に文字を大きく表記するなど、詩文に見られる手法を用いており、このような文章は、請求人のように、句読の意識も明白でなく、句読法が身についていない者には作成することができないと結論するのである。しかし、本件脅迫状の句読法の誤りを、高度の句読法を身につけた者の作為の仕業と推測することには、疑問がある。右鑑定書も認めるように、請求人自書の文書にも本件脅迫状と同種の句読点の誤用の例が見られるのである。また、本件脅迫状の後半部分には、三行にわたり文字を大きく表記した個所があり、これは強調の意味があると思われるが、これをもって、詩文に精通した者でなければ書けない筈などという大類鑑定書の見解は、穿ちすぎの感を免れない。このような次第で、本件脅迫状は請求人が書いたものではないとする本鑑定の結果には、疑問があるといわざるを得ない。
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