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二 脅迫状の記載訂正前の金員持参指定日付
所論は、要するに、(1)大塩達一郎作成の昭和五四年三月二〇日付写真撮影報告書、(2)弁護人中山武敏作成の同月三〇日付写真撮影報告書、(3)串部宏之・北田忠義作成の同年五月一五日付意見書、(4)昭和三八年五月四日付朝日新聞朝刊記事写により、本件脅迫状に記載された金員持参の指定日は、当初「4月29日」と記載されていたのを塗抹し、「五月2日」と訂正したものであることが裏付けられ、請求人の「本件脅迫状の金員持参の指定日の記載を「五月2日」と訂正する前は、「4月28日」と記載してあつた。」旨の自白が捜査官の誘導による虚偽であることが明らかになったばかりでなく、訂正前の日付である四月二九日には、請求人は終日近所の家の修理作業に従事していて本件脅迫状を作成する時間的余裕などなかったことが裏付けられ、右自白内容は虚偽で、信用し難いことが明らかになり、請求人が本件脅迫状の作成者であるとする確定判決の認定に合理的な疑いが生じる、というのである。
しかしながら、所論は、第一次再審請求で主張された身代金持参指定日の日付訂正に関する主張と同旨であり、所論を裏付ける新証拠として提出された資料も、訂正前の日付についての地元警察の認識を報じた事件発生直後の新聞記事の写(前掲(4))が加わっただけで、第一次再審請求で新証拠として提出され、その請求棄却決定の理由中で判断を経た証拠と実質的に同じであると認められるから、所論は、実質上、同一の証拠に基づく同一主張の繰り返しというほかなく、刑訴法四四七条二項に照らし不適法である。
そして、念のため、所論援用の前掲証拠を確定判決審の関係証拠に併せ検討しても、確定判決の事実認定に合理的な疑問を抱かせるには至らない。
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