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原決定は、捜査当局は犯行に使われた本件手拭いの出所を特定するため、昭和三八年度手拭いの回収に努め、全部で一六五本配布されたうち、配布先の明らかでない手拭いは一〇本であることが認められるとしている。そして、上告審提出の氈ES、氈EKの供述詞書を根拠に、M・S方に一本、石川仙吉方に二本の手拭いが配られたことは肯定できると考えられ、関係資料を検討しても气<bェ捜査当局の都合のよいように改竄された疑いは認め難いとしている。
しかし、これまで弁護人が新証拠および関係証拠によって立証してきたとおり、石川仙吉の二本のうち一本およびM・Sは、配布されていないにもかかわらず气<bノ氏名が記載されていること、したがって確定判決認定の配布経路による請求人の本件手拭いの入手可能性はあり得ないことが明らかである。
本件手拭い捜査は、气<bノ氏名が記載されているにもかかわらず未提出の者について全く不問に付すなどのことをするとともに、捜査はしたが未提出の理由について裏付けがなく嫌疑が消失しないままになった者も残されるなど、およそ客観的証拠の指向するところに従ったところ請求人に到達したと言い得るものではない。本件手拭いの出所としては、特定の者に到達することは到底不可能な状況が残されているのである。原決定は捜査過程への疑問について何ら検討しておらず、新旧証拠を併せた判断をなしたものということはできない。
原決定は、石川仙吉及びM・Sの両家と隣人ないし近い親族として日頃から親しかった請求人方では、請求人方に配布された手拭い一本の他に、M方あるいは石川仙吉方から同年度の手拭いを入手し得る立場にあったと認めた確定判決に合理的疑いがあるとはいえないとしている。しかし、右論旨は、家人の工作という何の根拠もない予断にもとづいて本件犯行に使用された手拭いが請求人方に存在したとするものであり、それ自体において重大な欠陥を有している。
確定判決の判断の前提となる、泄ト店の手拭いが石川仙吉ならびにM・S方から各一本未回収であるという事実そのものが否定されていることは明らかである。請求人方からは配布された昭和三八年度手拭いが提出されている事実を軽視し、新旧証拠の総合評価にもとづく公正な判断を行わなかった原決定は完全に誤りであり、棄却されるべきである。
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