部落解放同盟東京都連合会

狭山事件異議申立書-INDEXに戻る 

第一二、スコップに対する原決定の判断の誤りについて

                 

 判示は、「星野鑑定書の検査が、採取資料間の土質比較のために必ずしも十分なものではなかったことは、既に第一次再審請求の特別抗告棄却決定が指摘するとおりである」としながら、「スコップ付着土壌のサンプルの一つと類似する」ことが明らかにされたとして、この事実は生越鑑定書も否定していないことを主とした理由として本件スコップが犯行に使用された「蓋然性」は高いと述べている。
 しかし、付近一帯の土壌は広く関東ローム層が積み重なり覆われているものであり、これらの土壌が相互に類似していても、判示のスコップが死体埋没のために使用されたものとは、とうてい言えないものであることは、あらためて言うまでもないところである。
 星野鑑定の手法は、スコップ付着土壌や死体埋没付近の土に種々の検査を実施して、その結果の記録はあるものの、肝心の類似性、異質性の判断のメルクマールについては何らの基準を示さないもので、無意味な作業報告であった。
 他方生越鑑定書は、土壌分析の結果、異質性の判断の最重要の基準は、砂・シルト・粘土の混成割合であり、この点からみると、スコップから採取された(一)Pの土壌は他の如何なる資料とも著しく異なっているので、スコップが他の場所を掘ったときに右の土壌が付着したものと考えるほかなく、かえって本件スコップは、死体埋没に使用されたものでないことを示すことになることを明らかにした。
 この点については、各審理の段階を通じて明確な判断が下されていないことを指摘しておく。

 ◆狭山事件異議申立書-INDEXに戻る

部落解放同盟東京都連合会

e-mail : mg5s-hsgw@asahi-net.or.jp 

Site Meter