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第一〇、死体運搬についての、渡邊・中塘二三生共同作成の意見書の新規明白性と原決定の誤りについて
一、原決定は、死体運搬方法に関する自供を引用したのちに、右自供の中には運搬の途次、「持ち替えて担いだり、小休止を取ったか否かについては記載がないが、記載のないことからその途中で持ち替えや小休止が全くなかったと解するのは必ずしも当を得たものとはいえない。」とし、「右意見書はこれらの各事情を考慮していないので、請求人の自白の真実性を疑わせるとは言い難い」(要旨)と結論づける。
ところで右原決定が、運搬の困難性を感じとったうえでの結論であることは右論旨からもあきらかであって、念頭にいれておくべきことである。
ところで前記各自供からうかがわれるように、自供を引き出した捜査官らは請求人を、大変な力持ちに仕立てあげている。
なぜか。捜査官もまた、きわめて困難な作業であることを、経験則上知り得て、請求人にここで躓いてもらっては困るからであった。二、死体運搬についての前記自供の量から推して、それの何倍かにわたって、捜査官は請求人に質問をつみ重ねていると推測される。
あるいは「小休止したであろう」とか、あるいは「肩にさげて運搬したのではないか」などである。
もし請求人が真実Y(被害者)の死体運搬を体験しているのであれば、なぜに、「小休止」の事実を隠す必要があろうか。既に重大なる犯罪を告白していることに徴して、一層このことは強調されてよいであろう。被告人が死体を運搬していないことは、右自供と捜査過程ならびに本意見書を総合評価してあきからというべきである。
原決定は、「小休止したことを自供していないから小休止していないとはいえない。」というのであるが、捜査過程を逐一、まじめに、公正に検討すれば、右判示が屁理屈にしかすぎないものであることを知りうるのである。
新証拠である渡邊他一名の共同意見書が、請求人の、「死体を運搬した」旨の自供の真実性に合理的疑いを生ぜしめていることはあきらかである。
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