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(三)、木下第三意見書の新規明白性と原決定の誤りについて
原決定は、「三鑑定が単に共通文字の類似性のみから筆跡の同一性を判定したものでないことも、各鑑定書の記述内容に照らして明らかであり、三鑑定が判定根拠を示していないという論難は当たらない」と述べるが、木下意見書をはじめとする各鑑定書および弁護人の指摘する三鑑定の具体的問題点、とりわけ顕著な筆跡の相異について三鑑定が恣意的に無視している点について、何ら述べていない。
原決定は、木下意見書が「『ツ』については、その第二筆と第三筆の長さの比だけを問題とし、……『に』についても、専ら第二筆と第三筆を結ぶ連続線が第二筆と作る角度だけを問題にして、その余の要素は取り上げないまま、異筆を結論づけるその手法は、……余りに単純直截で、その妥当性には疑問がある」と述べるが、木下意見書は、三鑑定が対照文字とした「ツ」「に」について統計的検定(平均値の差のt検定)を実施し、「ツ」については過誤の危険率〇・三%以下で、「に」については過誤の危険率〇・三%以下で、それぞれ「同一人の筆跡でない」と言明できることを証明したものであって、原決定の述べるところは、木下意見書の近代統計学的方法を適用した厳正な証明に基づく指摘に対する無理解と言うほかない。
原決定は、三鑑定とその証拠価値を減殺させた木下意見書の指摘するところについて、新旧証拠の総合的評価に基づく判断を誤ったものとして破棄されなければならない。
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