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二、脅迫状の記載訂正前の金員持参指定の日付に対する原決定の判断の誤りについて

 原決定は、右論点に関する大塩達一郎作成の昭和五四年三月二〇日付写真撮影報告書外三点の証拠について新規性を否定し、明白性については具体的な検討経過を述べることなく、「所論援用の前掲証拠を確定判決審の関係証拠に合わせ検討しても、確定判決の事実認定に合理的な疑問を抱かせるには至らない」と結論を述べるにとどまっている。
 しかしながら、脅迫状の筆記用具に関しては、秋谷鑑定によって原二審において、金員持参指定の日付および場所の訂正用具は万年筆またはペンであって、これをボールペンとする自白の誤りが明らかとされていた。このため確定判決は被害者所持の万年筆奪取の時期と場所について原一審の認定を訂正し、右の点に関する自白を意識的虚偽に基づくものと断定したくらいであった。さらに原決定の出される直前の時期に提出された齋藤保作成の鑑定書は、封筒表側の「少時様」のうち「少時」は、万年筆によって書かれたものであって、ボールペンで書いたとする自白の誤りを明らかにした。すなわち、脅迫状・封筒をめぐる筆記に関し三度も科学的鑑定によって自白の誤りが明らかにされたのであり、とくに最後の点は自白の一部を読みかえることによって自白の基本的なストーリーは維持できるというレベルを越えて本件自白の信用性を根幹から動揺させるものであった。
 原決定のように関連する他の新旧の証拠と切断して個別的に証拠の新規性・明白性を判断する方法は決して正当な事実認定ではなく、関連証拠を加えた総合評価がなされるべきである。右論点に関する原決定の判断は、白鳥決定にいう旧証拠と全証拠との総合評価に背を向けた違法な決定であり、取消しを免れない。

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