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 INDEX資料室東京都人権指針に関する資料室

東京都知事 石原慎太郎 様

2000年6月27日

 

人権施策推進のための指針<骨子>に対する私たちの意見・要望

 

部落解放同盟東京都連合会

執行委員長  石居 秀夫

 

 人権施策推進のための指針<骨子>について、追加、訂正すべきこと、積極的に具体化(事業化)すべきことを要望しますので、秋に出される本「指針」に反映されますようお願い申し上げます。

1)「人権施策の基本理念の第3」(2p)において、「機会の平等を約束し、そのために差別や偏見をうけることのない都市づくり」が方向づけられています。いいかえれば、「実質的、結果的平等を否定し、機会の差別のみをなくせばいい」と受け取れます。「人種差別撤廃条約」「女性差別撤廃条約」などを引用するまでもなく、実質的差別を解決するためのアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)を含む「特別措置」の必要性は、国際的常識です。「機会の平等を約束する都市」を改め、「被差別者が誇りをもっていきていけることを約束する都市」あるいは、「あらゆる差別の撤廃を約束する都市」など、「差別を完全に撤廃する」という方向を明確に打ち出していただきたい。

2)上記にみられる差別撤廃軽視の考え方が「人権に関する現状」(6p)についてもあらわれています。被差別当事者の意見を反映しているとは言い難く、表面的な現状分析になっています。
「同和問題」については、@第1に、「差別意識は着実に解消にむけて進んでいる」と解消方向に力点がおかれていますが、「地対協意見具申」(1996年)では「差別意識は解消にむけて進んでいるものの依然として根深く存在し、教育、啓発を引き続き積極的に推進していかなければならない」と寧ろ差別意識の厳しさを強調しています。決して「着実に解消」しているとはいえない現状であることを正しく記載すべきです。A第2に、差別落書、インターネットを活用した差別事件、差別身元調査事件など今日特徴的な差別事件をあげていますが、特定の個人に対する脅迫としてあらわれ、「救済・規制」が大きな課題になっている差別脅迫葉書事件もきちんと特徴的事例としてとりあげるべきです。B第3に、伝統的部落の産業である皮革関連産業の実態など被差別部落の環境、生活、産業、就労の実態をきちんと記述すべきです。また、被差別部落とその出身者は差別の結果、永年低位な状況に置かれており、その実態を救済する施策を明記する必要があります。

3)「提言」(99年12月)では、個別人権課題において、「性的マイノリティー等(同性愛者、性同一性障害の当事者や自己の性別に不快感を伴う人々及びインターセックスを含む)」があげられていましたが、「骨子」の段階では、「性同一性障害のある人々」だけに狭められています。あえて、同性愛者を人権課題からはずさなければならない合理的な理由はありません。「国連人権教育の10年行動計画」など国際人権文書でもすでに常識の課題であり、東京都の差別性そのものを暴露した許すべからず問題です。
同性愛者の問題を重要な人権課題として位置づけ、差別撤廃にむけた具体的な計画を明示することを強く要求します。

4)「人権施策の総合的展開」の柱の1つに「救済・保護」(13p)があげられています。基本的に人権侵害を受けた人への「救済・保護」と侵害をおこした人への「規制措置」は一体のものであり、「救済・保護」だけでは人権侵害(差別)が継続されるおそれがあります。従って、差別や人権侵害をおこした人を規制する施策の必要性を明記すべきです。具体的には、「身元調査規制条例」「差別禁止条例」「就職差別撤廃条例」や「独立した人権機関設置」などについて、検討する仕組みを早期につくることを明記していただきたい。

5)「支援・助成」(29p)で、「被差別当事者の発言のためのフォーラム」がありますが、「人権ガイドライン」や「人権標準ガイドライン」は勿論、「指針」にもとづきおこなうすべての事業にかかわって、被差別当事者の意見を聞き政策に反映するシステムが必要です。具体的には、「第5章 指針の推進」の中に、「被差別当事者との指針推進協議会(仮称)」など、被差別当事者が政策決定に参加できるシステムの確立を明記していただきたい。

6)「施策の評価と見直し」(33p)にかかわって、「従来からの施策についても、その効果等に関する評価・検討をおこなう」とありますが、このことを個別分野ごとに早急におこなっていただきたい。その上で、個別分野ごとの5年計画を確立していただきたい。国際人権条約をみても、個別人権課題ごとに条約がつくられています。それは各々の差別において、歴史性も差別の現われ方も異なり、それゆえ、それを解決する方策もことなってくるからです。
個別の人権課題を踏まえることは、極めて重要であり、3つの柱という枠に人権施策を押し込めてはなりません。

7)「民間団体は救済・保護に大きく貢献している」(救済・保護 13p)という考え方は重要です。被差別当事者の自主的に解放をめざす団体など民間団体がはたしてきた役割は、救済・保護のみでなく、人権施策全般にかかわっています。民間団体との連携、ネットワークが重視されている中、当事者団体が、差別撤廃、人権確立に果たしている役割について、「理念」で明確にしていただきたい。その上で、個別人権課題ごとに「保護・救済」の「NPO等との協動のありかた」を具体的に事業化していただきたい。

8)また、上記6と同様の考え方で、「民間の啓発活動への支援」(19p)は重要である。被差別の自主的当事者団体の果たしてきた役割を承認し、啓発だけではなく、被差別当事者団体等民間の差別撤廃、人権確立にむけた活動への支援を具体的に事業化していただきたい。

以上、8点について要望します。被差別当事者の現実をよく理解し、また国際人権条約の考え方にも合致した指針の策定を望みます。

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