contents

INDEX

更新情報

topics

info

東京の部落

差別事件

狭山事件

地域活動

主 張

人権問題

資料室

Links

 INDEX資料室東京都人権指針に関する資料室

申し入れ書

2000年9月22日

東京都知事 石原慎太郎様

野宿者連続襲撃事件を考える会

    

 私たちは、本年6月15日に東京都墨田区及び中央区で発生した野宿者連続襲撃事件に心を痛め、頻発する同様の襲撃事件の再発を防止するために活動している市民の有志です。
 私たちは、東京都が本年6月に発表した「人権施策推進のための指針<骨子>」において、「路上生活者(ホームレス)」の人権状況、とりわけ「暴行を受けるなどの問題」が言及されていることに着目しています。今後、都が「人権施策推進のための指針」を策定するにあたり、こうした観点をさらに掘り下げ、野宿者の人権状況改善のために具体的な施策を展開されることを強く望んでいます。

 現在、東京都内には6000人とも言われる人々が路上や公園などでの生活を強いられており、その数は年々増え続けています。現在の雇用情勢や住宅事情のもと、野宿に至った人々が再び安定した住居や仕事を手に入れるのは非常に困難な状況にありますが、それに追い討ちをかけるかのように、野宿者に対する差別や偏見がその困難な状況をさらに深刻なものにしている現実があります。また現在、東京都が23区と共に推進しようとしている「自立支援センター」計画にしても、都民一般に潜在する野宿者への偏見ゆえに計画の推進自体が阻害されている側面も否定できません。
 そうした中、日々、不安定な生活を送らなければならない野宿者にとって、現在最も深刻な問題となっているのが、若者たちによる暴力や襲撃です。特に今年の夏はこうした事件が頻発しており、私たちが把握しているだけでも以下のような事件が発生しています。

・ 6月15日、墨田区亀沢と中央区日本橋中洲で野宿者4人に対する連続襲撃事件が発生し、1人が死亡。ほか3人も重傷を負う。18-20歳の若者3人が逮捕される。
・ 8月17日、豊島区南池袋公園で花火を注意した野宿者が若者に殴られ、軽傷。
・ 8月23日、台東区花川戸公園で野宿者が少年4人組に襲われ、ナイフで刺され、重傷。
・ 8月27日、練馬区さかえ児童公園で花火を注意した野宿者が若者に顔などを殴られ、死亡。

 これらは「氷山の一角」であり、実際には大小さまざまな事件が発生していることは容易に予測できます。また、連続襲撃事件において逮捕された若者たちは、「格闘技の練習をしたかった」「自分より劣った奴を見ると優越感を感じた」等と供述していると報道されており、こうした事件の背景に野宿者を人として見ず、自分より劣った存在として見下す意識が働いていることが考えられます。
 私たちは野宿者への暴行が多発している現状に強い危機感を抱いています。そしてそうした事件の再発防止のために、民間レベルにおいて野宿の当事者と若者たち、子どもたちが話し合う場を作っていきたいと考えています。ぜひ東京都としても、野宿者の人権をめぐる状況を深刻に受け止め、暴行事件の再発防止、野宿者に対する差別・偏見の克服のために具体的な施策を展開されることを強く望みます。
 以上の理由により、東京都が「人権施策推進のための指針」を策定するにあたり、以下の点を明記されることを申し入れます。

一、 東京都の人権に関する現状において、野宿者(路上生活者)の人権問題が存在すること。特に野宿者への差別・偏見に基づく暴行が多発しており、野宿者の生命が日々脅かされる深刻な状況にあること。

二、 東京都の人権施策を展開するにあたり、啓発・教育・研修などの場で、野宿者(路上生活者)の人権に関する個別的な視点からのアプローチが必要であること。とりわけ若者による暴行事件の多発をふまえ、学校教育において野宿の当事者と子どもたちの対話・交流を促進するなど具体的な施策が緊急に求められていること。

(このページのtopへback)

e-mail

部落解放同盟東京都連合会

http://www.asahi-net.or.jp/~mg5s-hsgw/

Site Meter