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狭山事件-最新情報

            

京高裁の不当な棄却決定に強く抗議する

私たちは真実が認められるまで断固闘う

         

 本日(02.1/24)狭山事件の異議申し立てを東京高裁刑事第5部(高橋省吾裁判長)が棄却したことが明らかとなりました。これに対して石川一雄さん、狭山弁護団、そして部落解放同盟中央本部がつぎのような声明を発表していますので紹介します。


真実は一つ、潔白が明らかになるまで闘い抜く

(石川一雄さんの声明)

 只今裁判所よりの棄却という知らせを聞き、前回同様に強い憤りを感じております。
 私、石川一雄としては齋藤・柳田鑑定や足跡鑑定などの新証拠、科学的な鑑定によって、高橋裁判長の勇気ある判断を期待しておりましたが、再び再審が棄却されて、法の正義とは力によるものか、と心の中で自問自答しながらも、最高裁に再度自分の真実を貫き通すため上訴しようと思います。
 真実は一つであり、私はあくまでも自分の信念を貫き、そして身の潔白が明らかになるまで闘い抜くつもりでおります。

2002年1月24日
石 川 一 雄


棄却決定は内容空疎、棄却のための棄却

(狭山弁護団の声明)

 平成14年1月24日東京高等裁判所第5刑事部高橋省吾裁判長は狭山事件の第2次再審申立に対する棄却決定に対する異議申立を棄却する決定を下した。弁護団は満身の怒りをこめてここに抗議の声明をあきらかにするものである。
 本決定の内容は全部で8万数千字に達するものであるが、これを検討すると弁護団の主張、新証拠の内容を多量に引用しながら単に結論部分として「弁護人らの主張は認められない」という判断を下しただけの内容空疎な迷妄の一語に尽きるものと断言できる。有名な万年筆の発見に関する疑問に対する論点についての判断がその典型であるが、弁護人らの主張、関連する鑑定内容を引用しながらその申立を棄却した理由としてあげているのは単に「第3回目の捜索で発見されたのは、第1、第2回の捜索の場合と捜索の事情や条件を異にするのであるから第1回、2回の捜索時に発見できないからといって本件万年筆が石川宅になかったことにならない」というだけの理由で弁護人らの請求を棄却したのである。いうところの「捜索の事情や条件を異にする」という点について、具体的には一切ふれていない。
 あるいはまた、上記万年筆について異議審に提出した齋藤鑑定の結果あきらかになったところの、万年筆による脅迫文の訂正ならびに脅迫状、封筒の文字が自白にいう犯行現場で訂正されたものではなく、それ以前に万年筆によって筆記されたものであることが科学的にあきらかにされているにもかかわらず、この弁護団の主張と自白の核心をゆるがした鑑定結果を全く無視し、論点としてとり上げていないのである。要するに本決定はあきらかに逃げの姿勢そのままであった。その証拠に旧証拠である自白の信用性についての総合的かつ全面的な再検討を全くやっていない。
 本決定はいうまでもなく無辜の救済の理念によって審査されたものではなく、ただ確定判決を維持せんがための棄却決定であって白鳥決定、財田川決定に対する判例違反はまことにあきらかである。弁護団は最高裁判所に特別抗告をなすことにより、必ずや再審開始決定をうるために断固たたかうものである。

狭山事件再審弁護団

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東京高裁第五刑事部の異議申立棄却決定の暴挙に断固抗議する!

(部落解放同盟中央本部の声明)

 東京高裁第五刑事部・高橋省吾裁判長は、1月23日付で、狭山事件の第二次再審請求の異議申立を棄却する決定をおこなった。弁護団は、この異議審でも8通もの鑑定を提出し、事実調べを求めたが、高橋裁判長もまた鑑定人尋問をまったくおこなうことなく、一方的に弁護団の主張をしりぞけた。わたしたちは、満腔の怒りをもって抗議する。
 今回の異議申立棄却決定は、弁護団提出の新証拠の内容に触れることなく、しりぞけたものであり、ただ再審請求棄却決定を追認しただけである。とりわけ、この異議審では元警察鑑識課員であった齋藤保・指紋鑑定士による3通の鑑定が出され、狭山事件の唯一の物証である脅迫状をめぐって、多くの新たな疑問が明かにされた。脅迫状の宛名である被害者の父親の名前が犯行当日より前に書かれたという指摘や筆記用具が自白と食い違っているなど真犯人が石川さんではありえないことを示す新事実に多くの国民が注目していた。
 しかしながら、異議申立棄却決定は、元鑑識の専門家による鑑定にたいして、なんら理由を述べることなく、「独断にすぎない」「推測の域を出ない」などというだけでしりぞけている。また、狭山弁護団は、昨年、裁判所の認定にしたがって脅迫状を作成する実験をおこない、指紋が検出されることを明かにした。犯人の残した脅迫状に、当日触れた被害者の兄や警察官の指紋が出ているにもかかわらず、石川さんの指紋が出ていないことは石川さんが脅迫状に触れていない以外に考えられない。このことを長年指紋検査に従事した齋藤保・鑑定人が自白の再現実験にもとづいて指摘した鑑定にたいしても、なんら中味に触れることなく、「実験条件が正確に再現できたものか明確ではない」というだけでしりぞけている。
 狭山事件には市民常識として数多くの疑問がある。ところが、異議申立棄却決定は、再審請求棄却決定と同じように、このような数々の疑問点を推測や可能性でごまかし、あげくは「自白内容は、ありのままを述べた正確なものは、必ずしもいえない」などとして自白と客観的事実との食い違いを無視しているのである。
 このような異議申立棄却決定は、最初から「棄却決定ありき」という姿勢と言わねばならず、裁判所の姿勢にまったく真摯な態度を見ることはできない。このような棄却決定がまかり通るようでは、「無実の者を罰してはいけない」という再審制度の理念も、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則ももはや無いに等しいといわねばならない。
 東京高検は、積み上げれば2メートル以上という多数の未開示証拠を手元に持っていることを認めながら、いまだにまったく証拠開示に応じていない。弁護団は、高橋裁判長に対して、刑事訴訟法279条に基づいて検察官手持ち証拠の内容照会、証拠リストの開示を求めていたが、それにはまったく触れないで棄却した。
 狭山事件は39年になろうとしている。63歳になった石川一雄さんは無実を叫びつづけている。人権の世紀といわれ、司法改革のなかで人権感覚と市民常識が問われている今、このような司法の判断が出されたことに、強い疑問と憤りを感じる。昨年は同じ東京高裁第五刑事部の裁判官の犯罪が裁かれ、司法にたいする信頼が問われた。全国に狭山事件を考える住民の会も広がり、学者・文化人らが狭山事件の疑問や証拠開示について意見広告を出したように、公正裁判を求める声は大きく広がっていた。異議申立棄却決定に断固抗議し、わ
たしたちは、石川一雄さん、狭山弁護団とともに、なんとしても再審を実現し、えん罪を完全に晴らすまで、断固闘うものである。

2002年1月24日
部落解放同盟中央本部
執行委員長 組坂繁之

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