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狭山東京実行委員会の代表団は、2002年4月25日1時30分から最高裁と最高検に要請に行きました。
最高裁に対しては、「書面審理や法理論議だけではなく証拠調べ・事実審理に踏み切ってほしい、最高検に未開示証拠の開示を命令してほしい」という2点を、最高検に対しては「未開示証拠の開示」を要請しました。要請参加者は、実行委員会の森本事務局長(東京平和センター事務局長)他、9団体から19人でした(最高裁には17人しか入れないため、2人は要請には参加できませんでした)。
最高裁に対する要請では、まず森本事務局長が要請の趣旨を口頭で述べ、第1小法廷各裁判官宛の5通の要請文、2月6日に開いた棄却決定に抗議する東京集会の決議文、事実調べと再審開始を求める団体署名93通を提出しました。この後参加者全員が一言づつ要請を行いました。団体の代表者と協議し、独自に長文の要請文をしたためてきた日本パブテスト連盟の永瀬さんは、「徹夜で書いてきた要請文だが、長くなるので部分的に読み上げて提出したい。ぜひ裁判官に回読してもらいたい」と述べ、狭山事件の概要、警察の捜査の不当性、検察の証拠隠しが国際的な非難を浴びていることなどを強く訴えました。「権威主義」的で市民感覚とは相当のずれが 対応した刑事事務課の課長補佐は、「要請の趣旨は法廷の書記官に伝える。いただいた書面も各裁判官が見られるように、所定場所においておく」と述べました。事務官は裁判官とは直接話はできなくて、書記官を通さないといけない仕組みなのだそうです。だったら書記官に要請の場に出てほしいと思うのですが(高裁では書記官も出ていましたから)、「最高裁ではそういう対応は、どの事件に対してもしない」ということでした。また、「提出した書面は本当に裁判官に見てもらえるのか」と聞くと、「書面は裁判官自身がみたいと思えば見られるようにしている。それ以上の対応はできない」とのことでした。要請の時間も30分厳守、いかにも「厳めしい」というか、「権威主義」というか、市民感覚とは相当ずれているという印象を受けました。
最高検の方は、人数制限が20人ということで、全員要請に参加できました。対応に出てきたのは、やはり事務官の課長補佐です。こちら側の要請の手順は最高裁と全く同じでしたが、最高検もかなり「構えて」いて、「要請時間は15分〜20分くらい」と言われ、「お聞ききした話は再審担当の検事に正確に伝えるが、事件のことや質問にはお答えできない」という対応でした。結果的には30分要請したのですけど、どうも納得できないという感想が残りました。
確かに、私たちは彼らと争っているわけだし、司法の場という性格から、事件の具体的な問題についてガードが固くなるのは一応理解できます。でも一方で、裁判所や検察庁といえども公的機関なわけです。自分たちのやっていることを説明する責任があるはずです。市民の声に真剣に耳を傾けるのも、彼らの仕事の一つです。裁判所や検察庁にとって、個別の事件は、他の行政官庁における個別の政策案件の一つ一つと何ら変わりないはずです。それなのに「裁判や司法制度一般についての意見は聞いたり議論したりできるけど、個別事件については市民の声など聞くわけにはいかない」というのでは、一見「公正」のように見えて実のところ民主主義の根幹を否定しているのと変わりないと感じます。
そういうことを改めて感じさせられた要請でした。(狭山東京実行委員会事務局・浦本)
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