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特別区研修所の同和研修で
講師が差別助長発言

都連・東京清掃労組と共同して事実確認会


 都連は特別区研修所の「清掃研修 現任技能(10年目)同和研修」での講師による差別を助長する問題発言について事実確認会に取り組んでいる。
 今回の問題発言は2010年10月20日の特別区研修所の清掃研修のカリキュラム「同和問題」の中でおこなわれたもの。後日、この研修を受けた受講生(組合員)から「同和問題の研修を務めた講師から非常に聞き苦しい発言がされて、不愉快な思いをした」といった訴えが東京清掃労働組合(以下、清掃労組)にあいついだ。
 訴えのあった発言の主な内容は「『休暇の取り方も20残さず、考えずに使うバカが多い』『清掃職員は給料が高すぎる』『清掃職員をもっと減らせるし、清掃事務所はいつでも無くせる』『どこの清掃事務所にも派閥がある』といった、おおよそ同和問題とは直接関係のない、清掃職場や職員を嘲笑するような内容がほとんどを占め、肝心の同和問題については『「今の時代、インターネットで古地図を調べれば同和地区はすぐわかる』『◯◯区、◯◯区、◯◯区など狭小路地が多いところは同和地区の可能性が高い』」などと社会問題化しているインターネットでの差別行為をさらに煽るような発言内容であった。
 清掃労組は受講した組合員からの聞き取りをおこない、また特別区職員研修所に問題提起をおこなった。同時に1月12日に都連に対しても今回の問題発言について報告があった。そして今回の事件に対しては清掃労組と都連で共同して取り組むこと、特別区研修所、港区、清掃労組、都連の4者で問題発言をおこなった講師をよんで事実確認をおこなっていくことをなどを話しあった。
 特別区研修所は23区の各区が策定する研修計画を効果的に活用されるよう、共同研修の直接実施に加え、講師養成や研修開発、教材開発、情報提供等、各区に支援策をおこなっている。
 今回の研修は清掃職員で10年目の中堅職員を対象に「同和問題に対する正しい理解と認識を深め、あらゆる差別の解消をめざす」ことを目的におこなわれ、13区33人が特別区研修所に集合し、研修を受けている。
 1月27日の事実確認を行うための意見交換会には特別区研修所からは渡辺研修所長他2人、港区は小池総務部長他3人、(講師の港区清掃事務所長も含む)、清掃労組は染本部書記長他1人、都連は長谷川委員長他2人が出席した。
 まず冒頭、特別区研修所と清掃労組からそれぞれ経過報告がおこなわれた。そして講師を務めた港区清掃事務所長から謝罪がおこなわれた。所長は「このたびは私の不適切な発言により研修生の皆さんに不愉快な思いをさせ、深く謝罪いたします。また、関係者のみなさんに多大なご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした。…同和問題の解消のための研修でこのようなことになり、講師としての責任重大と反省しております。…研修生から労組をはじめとして大きな苦情が寄せられたことを真摯に受けとめ、研修生に誤解を生んだこと、これは私の不適切な発言や思慮の足らない説明が原因として反省しております。…」と述べた。
 この後、清掃労組から受講した組合員の聞き取りにもとづいて事実の確認がおこなわれた。次に都連から「同和地区は住宅地図を見れば一目瞭然」「狭小路地は同和地区の可能性が高い」などこのような趣旨の発言をしたのかどうか事実の確認を求めた。
 今回の問題発言について、まず事実確認をしっかりとおこなわなければならない。その事実確認にもとづいて今回の事件の真相を究明していかなければならない。受講生の聞き取りから見えてくる@なぜ講師が清掃職場を差別、蔑視しているとしか思われないような発言・研修をしたのかAなぜ3時間20分の同和研修の半分以上を同和問題以外の内容で研修したのかBなぜ部落や部落解放運動に対する偏見を生み差別を助長するような研修をおこなったのかについて真相究明していかなければならない。なお、事実確認会の詳細は次回まとめて報告する。

 

部落解放同盟東京都連合会
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