都連は、5月7日、第64回定期大会を台東区民会館で開催する。
昨年は全国水平社創立100周年という大きな節目の年であった。都連でも「東京の部落解放運動100年の歩み」をまとめ昨年3月に書籍として発行した。その中で、「100年を踏まえて、都連運動の展望」を示した。101年目にあたる今年、まず差し迫る課題を勝利していかなければならない。
差し迫った課題の第1は、狭山第3次再審闘争である。弁護団は昨年の8月に万年筆のインクに関する鑑定と11人に鑑定人尋問を求める事実取調請求書を裁判所に提出した。再審決定を裁判所が出すためには事実調べが必須である。裁判所に事実調べを求める署名は3月現在で42万筆以上集まっている。街頭宣伝、SNS等インターネットでの訴えなどあらゆる手段を講じて、事実調べ実現に向け裁判所を動かす世論を拡大していかなければならない。
第2の差し迫った課題は、「復刻版」裁判控訴審の闘いである。東京高裁(控訴審)の判決は6月28日と決まっている。東京地裁の判決を上回る判決を勝ち取っていかなければならない。東京地裁判決ではプライバシー侵害、名誉権を認めたが、原告のいない県など16県については差し止めを認めず、また、自らカミングアウトしている部落出身者のプライバシー権は認めなかった。更に「差別されない権利」も認めなかった。差別禁止法の制定をめざすとともに控訴審での完全勝利に向けた取り組みを進めていかなければならない。
第3の課題としてインターネット上の差別や人権侵害の強まりに対する闘いを強化していかなければならない。昨年11月30日、グーグルは「部落探訪」ユーチューブ版を削除したが、示現舎は新たにサイトを立ち上げ部落の暴き行為を続けている。さらに、TwitterやTikTokなどでも「部落探訪」動画を公表し始めている。このようなインターネット上で拡散され続けている差別行為に対して、国は差別禁止法や人権委員会設置など包括的な人権の法制度を整備していかなければならない。同時に都区市町村においても条例の制定やモニタリングの実施などインターネット上の差別を野放しにしない対策の確立が求められている。都は「人権尊重条例」を制定しているが、ネット上の差別や人権侵害に効果的に対処できていない。プロバイダーやSNS事業者の本社が東京に多いことからも東京都が果たすべき役割は大きく、行政闘争を強めていかなければならない。
そして、第4の課題として、現在、岸田政権が進めている軍事大国化路線を許さない闘いが重要だ。安保関連三文書の改定、敵基地攻撃能力をふくめた軍事力増強、防衛費の大幅増額、防衛費増税など戦後の安全保障政策を大きく転換するものだ。戦争がない平和な国際関係や貧困がない社会は、差別撤廃、人権が確立された社会づくりと切っても切れない関係にある。平和・人権・民主主義・環境の確立と貧困撲滅は一体であることを踏まえ、軍事大国化を許してはならない。
「101年目」を迎える都連運動を確かなものにするために、第64回大会を都連総力を挙げて成功させましょう。