都連は、第57回都連大会を5月8日に開催する。今年の都連大会は、平和・人権・生活を巡る情勢からも、また、差別の強まりという状況の中で運動と組織の強化が求められていることからも極めて重要な大会になる。
今日、部落差別は強まりを見せている。鳥取ループ・示現舎は、1975年発覚部落地名総鑑の原本となったといわれる1936年中央融和事業協会が発表した「全国部落調査」をインターネットで公開し、またその「復刻版・改定版」を発行・販売しようとしている。これは差別図書部落地名総鑑事件の再来であり、身元調査を誘発する差別扇動である。そして、この悪質な差別主義的行為が禁止できない日本の法体系が問われなければならない。差別身元調査を含む戸籍謄本等不正取得事件も後を絶たず、また、「東京都人権に関する世論調査」(2014年)においても部落を忌避し排除する意識が悪化しており、「部落出身者」の日常生活を脅かしている。
重要な参議院選挙
このような部落差別の強まりは、今日の社会状況を反映している。その第1は、安倍政権が、昨年9月、憲法違反である「安保関連法」(「戦争法」)を強行採決し、「戦争ができる国づくり」を本格化しているという状況だ。第2は、格差・貧困化が固定化し、「子どもの貧困」の深刻化など貧困が世代継承化しようとしていることだ。安倍政権の「戦争できる国づくり」は私たちの生活の犠牲の上に成り立っている。戦争と差別は一体であり、軍国主義、国家主義のもとでは差別排外主義は強まる。多くの市民が求める安倍政権の退陣に向け、来る参議院選挙は極めて重要になっている。
第3に、「特措法」終了から14年、部落問題解決を目指す行政施策の形骸化という状況がある。差別の強まりという現実を広く社会に訴え、部落問題解決に向けた行政責任を具体的に実行させていかなければならない。
戦争と差別、貧困を許さず
私たちは、このように差別が強まっているという現実を踏まえ、戦争と差別に反対し、糾弾闘争を強め、差別を許さない広範な社会運動を構築していく必要がある。そして、国際人権基準に合致した差別撤廃に向けた法制度を確立させていかなければならない。
また、正念場を迎えている狭山第三次再審闘争の勝利に向け、事実調べ実現、全証拠開示を通じて再審開始を実現する地域からの運動を強めていかなければならない。
更に、差別糾弾、法制度確立、狭山再審の闘いを通じて、反差別共同闘争を発展させるとともに、次世代に運動を継承していく意識的な取り組みが急務の課題になっている。
戦争と差別と貧困を許さず、平和と人権の確立、格差社会脱却をめざす部落解放運動を東京の地から創造していくため、多くの同盟員の参加のもと、活発な論議で、都連大会を成功させましょう。