主張

東京の解放運動の前進へ
狭山、復刻版裁判、行政闘争などを強化



 世界で新型コロナウイルスの感染者が増加し続けている。世界保健機関(WHO)は3月11日、新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)の流行を「パンデミック(世界的大流行)とみなせる」と発表。3月23日には、「パンデミックは加速している」という認識を示した。

 また、国際オリンピック委員会(IOC)は3月24日、東京五輪を「1年程度延期」すると決めた。更に3月25日、小池都知事は「オーバーシュート(爆発的な患者の急増)の懸念がさらに高まっている」と発表し都民に「外出自粛」を呼びかけた。政府は3月26日、「特別措置法」に基づき「政府対策本部」を設置し「緊急事態宣言」が出せる環境を整えた。

 感染拡大による移動制限などの対策は、経済活動、社会活動に多大な影響を与えている。特に中小企業や地域産業への影響は大きく、金融機関等には資金繰り相談が急増しており政府は返済猶予などの措置を金融機関に要請している。

 また、社会不安の増大にともない差別や人権侵害も強まっている。世界各地でアジア系市民に対する差別的言動が強まっている。都内でも感染者や中国の方等に対する差別事件が発生している。

 感染拡大の影響は、都連の運動についても例外ではない。この間、感染拡大防止の観点から2月開催予定だった「狭山東京集会」の延期、3月開催予定だった「解放セミナー」の中止などを決定した。新型コロナウイルスの感染がいつどのような形で収束するのか、先は見えない状況であり、今後の活動にも影響するが、2020年度は部落解放運動にとって重要な局面を迎える年であり、創意工夫しながら取り組みを強めていかなければならない。

 まず、第1に、狭山再審闘争は裁判長に「事実調べ・鑑定人尋問」を要請する重要な局面にある。「脅迫状の筆跡は石川さんの筆跡と異なる」や「石川さん宅で発見された被害者のものとされた万年筆は被害者のものではなかった」等この間の新証拠の提出により石川さんを「有罪」と決めつけた「確定判決」は土台から崩壊している。再審を開始させるためには裁判長による鑑定人尋問など事実調べを実現させなければならない。「狭山東京実行委員会」の仲間とともに、新証拠の学習や宣伝、また、裁判長への要請はがき運動など裁判所を動かす取り組みを強めていきましょう。

 第2に、「全国部落調査」復刻版出版差し止め事件裁判に勝利していかなければならない。裁判は2018年3月に第8回口頭弁論がおこなわれ、それ以降、裁判の在り方を調整する弁論準備が重ねられた。そして、今年の8月には証人尋問がおこなわれ、年内か年度内に判決がだされることが予想される。裁判傍聴行動や学習活動などを通じて社会的世論を広め裁判闘争に勝利しよう。

 第3に、部落差別解消推進法を活用し差別撤廃に向けた行政闘争を強化しよう。インターネット上の差別事件に対して、現在、全国的にモニタリング事業が取り組まれている。都内では台東区が実施しており、墨田区、荒川区も実施を表明している。モニタリング事業を都区市町村に広めていこう。また、「都人権条例」や「都人権指針」を具体化させつつ、差別の現実を踏まえ、改善や改訂要求を「部落解放・人権政策確立要求東京実行委員会」や「人権ネットワーク・東京」の仲間とともに強めよう。さらに、区市町村に対して「差別禁止条例(仮称)」を制定させる取り組みを推進しよう。

 2020年度も都連、各支部一丸となって闘い抜き、運動を前進させよう。

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