7月4日、東京都議会議員選挙の投開票がおこなわれ都議127名が選出された。政党別では自民党が33名で第1党になり、都民ファーストが14議席減らし31名となった。公明党23名、共産党19名、立憲民主党15名で、立憲民主党が躍進した。都連の推薦候補は9名のうち5名が当選という結果になった。今後、自公合わせても過半数に届かない中、小池都政は、自公と都民ファーストとの調整政治になっていく。このような議会状況は人権政策についても影響を与える。小池知事が「東京都人権尊重条例」を提案(2018年)したときには、自民党は反対票を投じており、人権政策は骨抜きにされる危険性がある。闘いを強化していかなければならない。
私たちは、改めて、都内に差別や人権侵害があり、それが強まっている現実や、差別や人権侵害は今日あってはならない解決しなければならない社会問題であることを東京都や都議会各会派に周知させる必要がある。
あらゆる差別を撤廃する都政を確立させるための基本的な課題は以下のとおりである。
第1に、「東京都人権尊重条例」の改正である。この条例は「前文」や「第1条」で「いかなる種類の差別も許されない」ことを宣言し、東京都人権施策推進指針に明記している「17人権課題」が対象であることが都議会答弁等で確認されている。「17人権課題」を条文に明記し名実ともに「あらゆる差別を禁止する」条例に改正する必要がある。
第2に、人権啓発、教育、研修の在り方を抜本的に見直し強化する必要がある。東京都は「人権に関する都民の意識調査」を実施し結果を本年2月に公表した。部落差別について、1999年、2013年に実施した「人権意識調査」と比較して差別意識は強まっている結果が示されており、これまでの部落問題啓発や教育の在り方が検証されなければならない。
第3に、インターネット上の差別や人権侵害を規制する対策が必要である。福井県では、インターネット上の誹謗中傷や差別に関して、AIシステムを活用したモニタリングを実施している。国が効果的な規制法をつくらない中で地方自治体が創意工夫した対策を講じようとする先進的な事例である。差別や人権侵害はあってはならない重大な問題であるという認識のもと都内でもいくつかの区がモニタリング事業を開始している。東京都も全国に先駆け先進的な対策を講じるべきである。
第4に、格差・貧困社会からの脱却である。コロナ禍において、中小零細企業は壊滅的な打撃を受けている。また労働者も解雇や雇止めなどで生活不安を強め、格差・貧困はさらに強まっている。オリンピック・パラリンピック準備局が所管する予算は2021年度だけでも4122億円計上されている。本来、中小企業対策や生活対策に充てるべきである。
ポストコロナで様々な意見や提言がだされている。そこには必ず人権が位置づけられなければならない。インターネット上の誹謗中傷やエッセンシャルワーカーの待遇などもコロナ禍で問題となっている。あらゆる差別を撤廃し人権を基軸にした都政を確立させよう。