主張

事実調べを実現させるため
裁判所を動かす世論構築に向け
狭山東京集会を成功させよう



 狭山事件の再審を求める東京集会を狭山東京実行委員会の主催で9月22日午後6時30分から台東区民会館9階ホールで開催する。狭山第3次再審闘争は大詰めの段階を迎えており、多くの市民が集会に結集し東京の地から裁判所を動かす世論を盛り上げていこう。

 今年は1963年に狭山事件が発生し石川さんが不当逮捕されてから60年になる。狭山闘争の勝利なくして部落解放はあり得ない。部落差別に基づくえん罪を許さず、狭山第3次再審闘争を勝利していかなければならない。

 石川さんと弁護団が2006年に第3次再審請求をおこなってから17年目を迎える。2008年に就任した門野裁判長は三者協議(現時点で56回)を開始し、検察に証拠開示を勧告した。検察は現時点で190点以上の隠し持っていた証拠を開示した。弁護団はその証拠をもとに有罪確定判決の根拠を覆し、石川さんの無実を示す新証拠を257点提出した。

事実取調請求書を提出

 この新証拠をもとに、弁護団は2022年8月29日、東京高裁に対して、有罪の決め手とされた「万年筆」についてインク資料の鑑定とこれまでに提出した新証拠の鑑定人11人の証人尋問を求める事実取調請求書を提出した。足利事件、布川事件をはじめ、これまで再審で無罪となったえん罪事件では鑑定人尋問や裁判所による鑑定の実施など新証拠の事実調べがおこなわれている。再審開始のためには、事実調べが極めて重要である。

 11人の鑑定とは、「筆跡・脅迫状」「足跡」「血液型」「スコップ」「目撃証言」「音声証言」「万年筆」「自白」に関する新証拠に関係する鑑定でである。裁判所自らが鑑定人尋問や鑑定をおこない「確定有罪判決に合理的疑いがある」ことを確かめるべきだ。

 検察官は、不当にも「事実取調請求」に対して、鑑定人の証人尋問も、インク資料の鑑定実施もすべて必要ない、弁護団が提出した新証拠は新規性も明白性もなく再審開始の理由にならないから事実調べの必要性もないという意見書を提出した。現在、弁護団はこの検察官意見書に対して反論書を提出している最中である。

事実調べを求める闘い

 狭山事件の再審を求める市民の会は、「狭山事件の第3次再審請求で事実調べ(鑑定人尋問・鑑定の実施)を求める緊急署名」運動を展開し、50万筆の署名を提出した。また、都連女性部による高裁前アピール行動、狭山青年共闘会議による街頭情宣、各地域での集会や現地調査、さらに、「石川さん無実、事実調べ実施、署名への協力」を訴え、多摩タウン誌「asacoco」4月6日発行号で意見広告の掲載やYouTube動画の製作、情報労連関東信越ブロック支部東京都協議会への署名協力依頼等々の取り組みを展開してきた。

 石川一雄さん(84歳)は早智子さんとともに無実を訴え闘い続けている。部落差別と冤罪を許さない社会的世論をつくり、事実調べ実現―再審開始、無罪判決をかちとろう。

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