主張

狭山東京集会を成功させ、鑑定人尋問実現―再審開始にむけた闘いを強化していこう。



 狭山事件の再審を求める東京集会を9月21日、台東区民会館にてオンライン併用で開催する。狭山第3次再審闘争は、近々に裁判所に鑑定人尋問を請求する重要な局面にある。裁判所に鑑定人尋問(事実調べ)を実現させるための闘いを強化していこう。

 2009年、門野裁判長のもとで三者協議が開始され、今年の4月段階で50回を数えた。その間検察は190点以上の隠し持っていた証拠を開示し、開示証拠をもとに弁護団は 246点の新証拠を提出した。

確定判決に合理的疑いが明確に生じている

 寺尾判決が石川さんを有罪と決めつけた根拠は、①脅迫状の筆跡が石川さんと一致するなどの7つの状況証拠、②自白にもとづいて捜査した結果判明した事実があるといういわゆる秘密の暴露、③自白は真実だという判断(自白の真実性)にある。

 弁護団が提出した新証拠は、「状況証拠」「秘密の暴露」「自白」など石川さんを有罪とした確定判決の根拠を根底から崩した。特に、「脅迫状の筆跡と石川さんの筆跡は異なる」とした福江鑑定は、 石川さんが脅迫状を書いていないことを明らかにした。また、被害者の万年筆が石川さん宅から発見され有罪の根拠となったが、「発見された万年筆と被害者の万年筆のインクの成分が根本的に異なる」とした下山鑑定は、 石川さん宅で発見された万年筆は被害者のものではないことを示した。これらの新証拠は、誰がおこなっても同じ結果が出る科学的根拠に基づいている。

 確定判決に合理的疑いが明確に生じ、証拠のねつ造までもが浮上している。裁判所は直ちに鑑定人尋問(事実調べ)を実施し再審を開始すべきである。

再審法の改正を

 冤罪をなくすためには証拠開示の義務化、再審開始決定に対する検察官抗告の禁止、事実調べの保障などを盛り込んだ再審法の改正が必要である。現行法では、再審請求段階の事件の一切の証拠は検察が所有しており弁護側はその証拠を共有できない。また、再審段階では弁護側は新たな証拠を発掘しなければならず容易なことではない。法律が冤罪を生み許す構造になっている。再審請求における証拠開示は義務付けられなければならない。さらに、審議を長期化させる再審開始決定に対する検察官抗告(不服申し立て)は禁止されるべきであり、確定判決に合理的な疑いが生じているから再審が決定されるのであって、検察側が不服がある場合は再審審議でおこなえばよいのである。冤罪を生み出さない司法改革が早急に求められている。狭山闘争は一切の冤罪を許さない司法改革の闘いでもある。

狭山の勝利なくして部落解放はない

 狭山事件は部落差別に基づく冤罪事件である。それゆえ差別糾弾闘争として取り組まれている。石川さん逮捕時の余談と偏見に満ちたマスコミの差別報道、警察の被差別部落への見込み捜査など石川さんは部落差別の結果犯人にでっちあげられた。

 鑑定人尋問(事実調べ)を求める要請ハガキ運動、街頭宣伝行動(スタンディングなど)、現地調査などこれまでの闘いを集約し、狭山東京集会を成功させ、鑑定人尋問実現―再審開始にむけた闘いを強化していこう。

狭山事件の再審を求める東京集会
日時 9月21日 午後6時30分開会
場所 台東区民会館9階大ホール+オンライン
講演 第3次再審と鑑定人尋問請求
講師 狭山弁護団 河村健夫弁護士

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